何年か前、いつもの居酒屋
のれんをくぐり入口の引き戸をあけると、見慣れない女性が一人で飲んでいた
「こんばんは~さむいね」
ママに声をかけながら席について、上着をいすにかける
「お湯割りやね」
いつものやりとりだ
この季節はお湯割り以外飲まないのに、いつも律儀に聞いてくれる
私もまた、条件反射の様に同じ答えを返す
一人で飲んでいた女性は40過ぎといったところだろうか
正視するわけにもいかず、ちらちらと視線を移すだけなので、詳しくはわからない
小柄で髪は肩、よくは見えないが髪のむこうの顔立ちは童顔かとも思えた
それなのに40過ぎと感じたのは、ママと交わす会話が低くしゃがれた声だったためだ
両肘をテーブルに置き、すでに出来上がった様子も見て取れたが、
観察もほどほどにリモコンを手にした
年齢を気にしたのには訳があった
居合わせた客の年齢にあわせて曲を選ぶためだ
気遣いという意味もあるにはあるが
どこかゲーム感覚で好みを探るというというのも一つの楽しみではある
そして互いに2,3曲も歌った頃、流れ始めた
それが、竹内まりやの「人生の扉」だった
一言も会話はしてないのに気持ちが通じたような不思議な感じに包まれる
思わず、箸を置き、彼女の歌う姿に目を移した
竹内まりやは好きな歌手だが、それは初めて聞く曲だった
50を過ぎてふと見渡した人生、この先はわからないけど、
大切な人との時間を大事に過ごそう、そんな歌詞が素直に体にしみこむ
酔いのせいだろうか、音も調子もどこか変なのに、正直少し感動している
曲が終わりきるのも待たずに声をかけた
「よい曲ですね」
「そうでしょう、でもうまく歌えなくて」
短い会話とともに、この曲が深く刻まれたのだった
その日から、2,3度店で見かけたのを最後に姿を見せなくなったその女性は、
ママに聞くと県外に引っ越したのだという
音楽との出会いというのはいろんな形があるものだ
いくつものシーンと音楽、人生の全てではないが、
柱の傷に思いをはせるごとく、曲とともに何かがよみがえる
また木枯らしの季節がやってきた
焼酎をなめながらリモコンをしばし眺め
「し」のボタンに指をかけた
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おはようございます。
返信削除あれ〜〜、zizi師匠いつから小説家に・・・
読んでると場面場面が浮かび上がってきます、文才ってやつですね。
素晴らしいです(^ ^)
でもその女性と何もなかったかは探らないでおきます( ̄▽ ̄)
ぎゃ~~~~~!、自動投稿ってこわ~い
削除まだまだ、書き直すつもりでいたのに
油断してたらアップされてた(^_^;
恥ずかしい、とともにとってもばつが悪いっす(笑)
このブログでは再三登場する居酒屋での一コマであります
小説風、ではありますけど、創作能力は無いので
基本、ノンフィクションです(^_^;
というわけで、この女性ともこの日一度きりの出会いでしたが
ママさんのとこにはたま~~に電話があるみたいです
いやそれにしても、びっくりした・・・
超恥ずかしい、です
いやいや、手直し無しで大丈夫です、と言うかこのままがいいです。
削除この小説のことは、丸に橘さんやがめラさんには秘密にしておきます( ̄▽ ̄)
おっとモチのロン、めぐみさんにも内緒にしときます。
この女性とはこの日は1度きりでも次の日から何度も会ってたことも秘密ですよね?
う~~ん、しばしばさんのコメントが入ってなければ
削除また倉庫の奥深くにしまっておく記事だったんですが(笑)
みんなには内緒で・・・(爆)
いやいやいやいやいやいや。。。
私みたいなぶっさいくには、しゃれた展開などありませんし
期待もしないです(^_^;
ZiZiさん
返信削除まりやさんの「人生の扉」、大好きな歌です。
佐田玲子さんもCDに入れてますし。
特に、英語の歌詞部分がしゃれてますよね。
私の意訳ですが。
I say fun to be 20
You say it's great to be 30
And they say it's lovely to be 40
But feel it's nice to be 50
二十歳、うぅ~ん、ステキ。
三十歳、すんばらしわよ。
四十歳、愛すべき年齢だわ。
でも、五十歳だって捨てたもんじゃないわよ。
I say it's fine to be 60
You say it's alright to be 70
And they say still good to be 80
But I'll maybe live over 90
六十歳、いいじゃない。
七十歳、全然悪くないわよ。
八十歳、まだまだ大丈夫。
私? 私は九十過ぎまで生きるつもりだけどね。
I say it's sad to get weak
You say it's hard to get older
And they say that life has no meaning
But I still believe it's worth living
But I still believe it's worth living
歳を取ることはたしかに悲しいことだわ。
老いは辛いものね。
人生に意味はないって言う人もいる。
でも、人生には努力や手間暇を掛ける価値があるの。
生きるってすばらしい。私は信じてるわよ。
居酒屋の彼女、「人生に意味はない派」だったのでしょうか。
その後の行方が気になりますねぇ。
それにしても、ZiZiさんには面白い出会いが一杯です。
めぐみさん、おはようございます
削除意図せぬ投稿でしたが(爆)
すてきな和訳、ありがとうございました!!
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人生に意味はないって言う人もいる。
でも、人生には努力や手間暇を掛ける価値があるの。
生きるってすばらしい。私は信じてるわよ。
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そう思います
もちろん人生を必死でたどっているうちは
素晴らしい、なんて感じる瞬間は希有かもしれませんが(笑)
せめていつか振り返ったときには、そう感じたいと思っています
この彼女さんが「どっち派」だったかは定かではありませんが
今もどこかでお幸せに暮らしていると信じたいです
数回しかお目にかかってないとはいえ
この曲だけで無く、竹内まりやさんを聴くきっかけになってくれた方ですし
ママさんにも、お店で見かけたら教えてねって言ってますが
まだお会いできてないです
続き(この物語には)
返信削除地方や都会の仕事があるが、今日は
久しぶりに都会での仕事が舞い込んだ。
わくわくしている気持ちを見透かすように
嫁がチラチラ見ている中を車のアクセル
を踏んだ自分を思い出す。
商談は良い方向に向きそうな予感がする。
そんな日は、寿司とビールで前祝い。
お店に入ると、昔カウンターに座りお寿司を
注文していた接待を思い出す。
この流れでスナックで軽く歌うのが縁起担ぎ
の自分がいる。ドアを開けると、数人いるが
静かに曲を歌っている。
カラオケのリモコンを持つと、いつも歌おう
と決めている曲が酔っている思い出せない。
歌っているとドアが開き、賑やか声の二人の女性
が入ってきた。一人の女性と目が合いお互いに驚
く。この都会にいるんだ。離れたテーブルに座る。
彼女の遠くを見るような目は、そうだ昔の彼女の
ようだ。ふらふらと、リモコンを持ってテーブル
に向かう自分が・・・・・。
★「○○君」山の神(家内)の声で目が覚める。
本日は、歓送迎会があり、したたか飲んで
帰宅後、アイフォーンでブログを読んでいると、
そのまま眠り、夢の続きを見ていました(笑)。
私も、このような夢(現実?)が見たい~♪。
風の又三郎さん、おはようございます
削除そして、すてきな続編をありがとうございました!
夢の中での?「再会」がテーマですね
運命というのは何を意図して、こういうシーンを演出するのでしょうか
ご褒美?意地悪?(笑)
でも、もう一度会いたい人って誰にでもあるから
夢であっても望みが叶うというのは
ある意味ご褒美なのかもしれませんね
それにしても「○○君」・・・
又三郎さん、奥様に「○○君」ってよばれてます?
なんかものすごくほほえましいです
もしかして同級生でしょうか、とてもすてきな感じです
ごちそうさまでございます!(笑)
ziziさん
返信削除失礼しました(汗)。
酔いに任せて・・・。
思い出は美化されるのか、
(素敵な思い出は。。。)
ブログに記載していますが、何時か観てくれるか
期待しています(笑)。
お互いに”さん付け”でたまに君。
金の草鞋のパターンです。
尻にひかれているフリをしています(笑)
いえいえ、すてきな物語でした!
削除思い出って確かに美化されるものですね
開けちゃいけないパンドラの箱なのにやたらとキラキラに見えたり(笑)
長く生きてると、いろんなことがあります・・・うんうん
お、金のわらじパターンなら
うちと一緒です(爆)
うちの嫁さんは季節によって1個上だったり2個上だったり
この春からは「年金もらう~~~!」って張り切っております
尻にひかれてるふり・・・とっても大事なことっす(笑)