マイクテスト「コンデンサーマイクのサイドアドレス編」です
アコギのフィンガースタイルに特化したマイクテストになります
題材に、練習中だった西村歩さんの「さくら(独唱)」を選んでしまったせいで
弾き間違いのアラシ(^_^;)&リテイクのアラシ・・・疲れました、疲れ果てました(笑)
にもかかわらず、サンプル音源にまともな演奏が一つもないという、悲しい状況のままですが
あくまでマイクテスト・・・そのように割り切ってお聞きいただければ幸いです
また、各マイクの所見は音響関連の知識も経験もない、ただの素人の戯れ言でございます
「バカ言ってンじゃないよ」とのご感想はごもっともですが、
そこは「そう感じる人もいるのか」といった程度に受け取っていただければ助かります
【対象機種】
以下の8機種です
①
BM-800(メーカー不明)
②
BEHRINGER C-1
③
MXL770
④
Audiotechnica AT-2020
⑤
sE Electronics sE X1 Vocal Pack
⑥
Bule Bluebird
⑦
Audiotechnica AT-4040
⑧
RODE NT2-A
【録音方法】
以下のとおりですが、ごく普通の民家ですので、遮音、吸音といったことは出来ていません
ごく普通な宅録環境とお考え下さい
・同じ部屋、同じ場所で録音
・ギター:FURCH G23-CRCT(マイク方向はネックジョイント付近、距離は30cm強)
・弦:Elixir CustomLight)
・曲目:西村歩さん「さくら(独唱)」の半分くらい
・録音機材:ZOOM R8+Behringer MIC2200(マイクプリ、ファンタム給電機能のみ使用)
・各マイクのスイッチ設定:ローカットオフ、パッドオフ、単一指向性にセット
・弾きムラを少しでも避けるために、同時に2本ずつ録音
(①⑦、②⑤、③④、⑥⑧が同時テイク)
・音源の加工:正規化のみ
【サンプル音源&所見】
爆安マイクにも関わらず、健闘していると思う
ホワイトノイズは8機種中最も多いが、曲が始まってしまえば気にならなくなる
ややドンシャリな音だが私も含めて好みな人はいると思う、
ただし、密度感が希薄で、極端なEQ加工は不自然になるかもしれない
それにしても3000円未満ということを考えると、十分な性能のマイクである
劣化を恐れずデスクサイドに常備しておけるメモ用マイクとして、
また、プラグインパワーでも動作する多機能マイクとしての価値はあると思われる
最近の値上がりで激安とは呼べなくなったが、コンデンサーマイクの入門用として一般的
ちゃんとした?マイクプリを通すのは初めてだったが、
ミキサー直より遙かにディーテール感が増したのにはちょっと驚いた
音量はあってもどこか「遠い感じの音」だった記憶があるが、今回はひと味違う(笑)
柔らかな中にも一応のディーテールと密度感があって使いやすそうなマイクだが
柔らかさが災いして、複数弦が同時に鳴ると溶け合ってしまう感じもある
EQで少し下を削るとかなり感じが変わってくるかもしれない
BM-800ほどではないがホワイトノイズはそこそこある
MXLの中でも廉価版のマイクだが、SHでの評価は結構高い
ただ、購入時は7千円台だったと記憶しているが円安の影響だろうか1万円前後まで上がっている
上のC-1同様、これまでマイクプリは通したこと無かったのだが、今回やはり良い意味で驚いた
ミキサー直やICレコーダーでは、柔らかな音だけどどこかはっきりしない感じだったが
今回は柔らかな中にもハリがあって他のマイクにも負けてないと思う
豊かな中域が特徴と言えそうな音だが、高域の抜けも悪くない
ディーテールの拾い方は、もっと高価なマイクには負けるが、
私程度のへたくそギター弾きには、アラが隠れていっそ使いやすいかもしれない
そこそこのマイクプリを持っていて、価格が以前のように7千円台であれば
入門用として間違いなく買いなんだけど、1万円を超えるとなるとライバルも増えるしちょっと微妙
根拠はないが、何となく用途を選びそうな感じもするが・・・
コンデンサーマイクの入門用としてはある意味「ど定番」なマイク
他の外国メーカーマイクが円安の余波で値上がりしている中、安定価格を維持していて
ついにMXL770とほぼ同価格となって(しまって?)いる
上位のAT-4040に比べると音はやや細く、やや固い感じは否めないが
ギター録音をする上では、「豊かな音」だけが最上であるとは思わない
マイクの音がリッチに臨場感豊かになるほど、演奏技術が求められるし
むしろ何もかも全部拾いきるのではなく、はっきりとした芯を感じさせるマイクだと
技術以上に上手く聞こえることもある
このマイクはすっきりとした中高域が特徴で、豊かさがやや不足といってもホンの気持ち程度だ
装飾感のない素直な音で密度も感じるので、加工もやりやすいと思う
MXL770と悩むところだが、僅差で2020に一票か・・・
発売から2年という新鋭機種、価格的には宅録レベルで考えると中堅的ポジションのマイク
新品購入後、最初に通電したときには、やたらと低域の張ったもこもこした音に感じたが
2回目以降はそんなこともなくなった・・・なぜかは不明(笑)
素直で華やか、かつ低音が豊かで、1万円未満のマイクとは明らかに一線を画す
好みはこの低音が好きか嫌いかで別れそうな気がするが
このマイクのローカットスイッチの効き方は強烈なので、
オンマイクのボーカルくらいしか用途が思いつかない
ギター録音で低音を調整したいときは、マイク距離で行うか、録音後の加工がよいと思う
しかし、ルックスも良く、多少色づけ感はあるが音も良く、好印象のマイクである
ちなみに、最近はボーカルパックというセット販売があって、
2千円程度の追加でショックマウントとポップガードがついてくるのでちょっとお得感がある
このショックマウントはAT-4040でも使用可能(AT-2020は不可)だった
弱点はメッシュグリルのひ弱さ、マイクコードを差すのにわしづかみにしたら、ベコッた(^_^;)
まだ一度も音を拾ってないのに・・・私はさめざめと、泣いた
アメリカ、カリフォルニア州に拠点を置くマイクブランド「BLUE」
個性的なデザインと上質なサウンドでプロアマ問わず人気がある・・・らしい
このBlueBirdは、BLUEとしては標準的なデザイン?でダイアフラムを強調した形状
BLUEの製品群では廉価版に位置するが、10年くらい前には12万円以上の定価がついていた
現在は実売3万円前後だが、この10年で何があったのかは不明
第一印象は、ともかく出力(感度?)が大きいなと、今回のテスト対象では最大だった
ちなみに、27mV/Pa@1kHz=20log(0.027)=-31dbVということだそうで
-31というと下のAT-4040(-32db)と比べても差がなさそうに思うが、波形の大きさは全く異なる
音質は、上から下までバランスが良いと思う
といってもAT-4040のようなフラットさというのではなくて、
多少の味付けをしながらも「心地よい音」を聞かせるマイクなんじゃないかと感じる
軽快で抜けの良い音だが、耳に刺さるといったところが無く
優しく聞き疲れしにくい音を録ってくれるように思う
極めて高感度、低ノイズ、ということは録音環境もかなり限定されそうな可能性もあるが
ちょっと癖になりそうな心地よさは、「持っておきたい」という気にはさせてくれる
通称「ヨレヨレ」という失礼な呼び方をされるマイクだが、プロの現場でも良く使用される(らしい)
ただひたすらに「素」なマイクだが、その潔さに感動する
ギターの音を残らず拾ってきたねと褒めてあげたくなる
3万円前後と宅録では高価な部類に入るマイクだけど、
予算が許すならば「とりあえずこれだけ買っておこうよ」と言いたい
ただ、道路脇とか生活雑音が多い環境だと厳しい部分もあるかもしれない
1本目としては高価だけど、いろんな意味で録音の腕を磨いてくれるマイクだと思う
音を素直と感じる要素は、多分中低域のフラットさなのだろう
妙に誇張された感じが無く、すっきりと聞こえるが、音源次第でちゃんと豊かさも録れる
各周波数をまんべんなく拾うからなのか密度感があり
少々のEQ加工ではへこたれなさそうな耐久感というのも魅力なマイクだと感じる
上質な音源を手に入れて
この音をどんな風に作り上げてイコかというわくわくを感じさせてくれるのだが
同時に「素のままでも十分に使える」というクオリティが伴っていることが
このマイクのすごいところではないかと思う
オーストラリアのマイクメーカーRODE、製品群の中では中堅クラスのマイク
音の味付け、特に高域の加工感が過剰だと言われることもあるが
この音は・・・正直好きだ(笑)
簡単に言えば、とても華やかな音でハリがあり、やや低音は薄いが押し出しもそこそこある
無地のTシャツを着た人たちの中にアロハのおっちゃんを見つけたような違和感も無くはないが
私好みの音ではある
なんというか、高域を強調とかそんな感じよりも、
エキサイターで処理したようなハリときらきらが中高域にあって、これがとても心地よい
ギター録音に限った話なのかもしれないが、上質な「加工済み感」が確かにある
プロのレコーディングの世界だと、この加工感が邪魔になるのだろう
無地のTシャツなら柄も色も変えられるけどけど、アロハはちょっと的な拒絶感があるかもしれない
しかし私のようなド素人だと、これはこれで十分にありだし、
ソロギターという単体楽器の録音だと他の音とのミキシングもあまり考えなくて良いから
「どうぞ、気にせず目立っちゃって下さい!」といえる
ボーカルや他の楽器のことは録ったことがないのでわからないが、
フィンガースタイルのギター録音なら、それほど落胆せずに済む1本だと・・私は思う
ただ、くっそ重たいので、しっかりしたスタンドをお供につけてあげないと
録音中にギターを攻撃される恐れも十分にある
【感想など】
いろいろと好き勝手に書かせていただいたわけですが、
人によっては「みんな同じに聞こえる」と感じられたかもしれませんし
また逆に「全然違う!」と聞こえた方もおられると思います
プロのレコーディングではないので、「個人の感想=マイクの価値」ということで良いと思いますし
何でも良い、とは言いませんけど、
初めて買うマイクなら例えば予算だけでマイクを決めてもいいし
何本か経験のある方なら好みで選択するのもありだと、思っています
でも、プロではないと言いつつ、
その録音を誰が聞くのかと考えれば判断に迷う部分もあります
録音を自分しか聞かないのなら、予算や好みに合えばどんなマイクでもいいですが
誰かに聞いてもらう、出来るだけ良い音と感じてもらいたいと言う場合は
自分の好みや聞こえ方以外の何か別の基準が欲しいこともあります
(経験豊富で公開用音源の音づくりについての知識や技術のある方は別です)
そんなとき、ある程度の材料になるのが「価格とネット評価」
例えば、今回テストしたマイクは、3千円から4万円までと、かなりの価格差ですが
私のレベルの感性で申し訳ないですが、密度感や心地よさではやはり価格相応の差があります
特に1万円未満と2万円を超すクラスではそこそこ大きな差になっていると感じます
また、1万円未満の2機種は増幅部にやや無理があるのか、ノイズレベルも高めで
価格と性能はやはりどこかで釣り合っていると言えそうです
(安くても、良いマイクというのはあるにはあるんですけど・・・・)
サイドアドレスのコンデンサーマイクを買って音源公開するならば
少なくとも1万円は超えるレベルで選択するのが無難と思います
ネット評価も参考になりますが、経験レベルも知識レベルもいろんな方々が書いているので
かえって判断に迷うこともあると思います
でも、雑多な情報であっても読んでいるうちに自分の知識も増えていきますし
判断にたる「なにか」が得られることもありますので
その情報が絶対ではないという意識さえあれば、
出来るだけ多くのネット評価に触れるのがよいと思います
マイクってギターと違って試奏したりできるものでもないし
もちろん店頭でながめただけでは何もわからないし
youtubeで音を探すことは出来ても、録音条件や加工条件が??ということで
価格やネットレビューを頼りにしても、最後は出たとこ勝負(笑)
このテストが勝負前の判断材料の一つにでもなれば幸いに思います