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2018年1月22日月曜日

イルカの誘惑 (2/4) ~予期せぬ出会い~

「え~~、イルカって人を誘惑しちゃうんだ?」
と、純粋でまっとうな反応を示す人はこれを読んでいないと思うので
ジョークの解説などと言う無粋なことはしないでおこう・・・

J-GUITAR

言わずと知れた、ギターのネットショップモール
新しいギターに興味が無いと言いながら、それでも日々ここを訪れてしまうのは
さすがに「矛盾しとる!」と自分でも思うのだが
買わないまでも、ここで新品・中古含めていろんな情報に触れていないと
ギターのトレンドのようなものに取り残されてしまうような強迫観念が働いているようにも思える

それに変な話だが、見ているだけで値段の感覚というのも自然と育っていく
もしもまたギターが欲しくなったときに、感覚的に相場がわかるというのは大きな利点だ
いつ来るかもしれない「そのとき」に備えるのもばかばかしい気がするが
まあ、タダでできることだから、そんなに悪い話でもない

とはいえ、狙いのギターもなく、ただボーッと眺めてるだけではあってもだ
あふれかえる情報の無差別攻撃に耐えるのはそうそうたやすいことでもない(笑)
流し見でも、興味のどこかに引っかかるギターはやはり存在する
でも私だって全くの無防備じゃない(^_^;)

  「それは今あなたに必要?」
  「宝の持ち腐れ、猫に小判、豚に真珠って、知ってる?」
  「お金どこから湧いて出る?」
  「もう置き場所も無いじゃない!」

ありがたいことに、こんな防衛システムが、無謀な「ポチ」から身を守ってくれるのである
いや、守ってくれていた

ドルフィンギターズ

妙な言い方になるが、ギターをはじめた頃からの「憧れ店」であった
大阪江坂店、東京恵比寿店という2店舗展開ながら
高級ギター、特に個人制作家のギター取扱が豊富で
私の中には「高級店」のイメージがすり込まれてしまっている
それは、こんな無邪気な三段論法の故ではあったが、それほど的外れでもいない、と思う
  ■ソロギターを始める、楽譜を買う、楽譜書いてるギタリストさんはエライ
    ■そんなギタリストさんはみな個人制作家のギターを使ってる
      ■そんなギターをたくさん取り扱ってるお店ってスゴイ

加えて、岸部さんはじめ、ソロギをはじめた頃から憧れたギタリストのインストアライブも、
わたしの中のショップイメージをよりいっそう高めていた
単に「良いギターを手に入れる」ということと同じくらい
「ドルフィンギターズでお買い物する」ということも、いつのまにかマイステータスとなっていた

しかし、これまで全くご縁がなかったわけでもない

2013.7にはドルフィンギターズ恵比寿店でMORRIS S107Ⅱというギターを購入している
今はあまり弾く機会もなく、壁の花の時間が長いが
5年近く前になる当時は、
ソロギを始めたきっかけとなった南澤大介氏がMORRIS Sシリーズを使用していたことで
「ソロギをするなら MORRIS Sシリーズを買わないとダメ!」って、
かたくなに思い込んでいた
14万円という価格は、人工衛星から身投げするくらいの決意だったから
おおいに悩んだのも良く覚えているが、程なく「憧れ店、ドルフィンギターズ」で購入となった
そのとき、ギター入手と同じくらいこのエンブレム(ワッペン?)が嬉しかったことは今も忘れない


そして、このドルフィンギターズもJ-GUITAR軍団の一翼を担う
アコギの情報提供という意味ではとてもありがたい存在だが
情報が「美味しすぎる」のは罪でもある
あろうことか、時々「動画」などという強力な武器まで使ってくる(^_^;)
私の優秀な防衛システムも時々悲鳴を上げるこの攻撃が
いつかは致命傷になるのではという漠然とした不安は、正直ココロのどこかにいつもあった

NISHIHARAギターとの出会い

きっと、私の防衛システムも「よそ見」してたに違いない
それまでもNISHIHARAギターに興味があったのは確かだが
個人制作ゆえにタマ数も限られており、J-GUITARからも滅多に飛んでこないので油断した
そんなある日、イルカがNISHIHARAギターを抱えて泳いできた

それはなんとも言えず美しいギターだった
独特のカッタウェイ、全体的なプロポーション、魅惑的な材・・・
華美な装飾はないけれど、品の良いたたずまい感にすっかり魅了された
そして、この魅惑的なシェイプから実際にどんな音が出てくるのか・・
興味は尽きない

それでもまだ自制心のカケラくらいは残ってた
しかし、頭の半分くらいをこのギターが占領し、
毎日のように、「もう売れててくれ~~」と念じながらJ-GUITARをチェック
欲望と自制心の内戦状態である
だが自分がこうなったときの勝敗は、悲しいかな経験的に明らかだったりする

ギター制作家の西原悠紀氏は、「アコースティックギター作りの匠たち」という本によれば
このように紹介されている

   |長野県にある老舗ギター・メーカーで3年半ほど従事した後、
   |2012年に独立し、現在は京都府船井郡にある工房で、
   |オリジナリティ溢れるギターぞ製作している新進気鋭の若手ノレシア一
   |工房を始めた当初は、
   |最初にデザインしたREYDENSJ (スモール・ジャンボ・モデル)だけに絞り、
   |複数のンェイプを作ることをせず、
   |材や装飾などの仕様を変えながら、ひたすら同器の完成度を高めようと注力してきた。

なんとまだ独立から6年という超若手ルシアー
個人製作と言うことなら、製作本数もまだ5、60本だろうと想像できる
しかし、ギターフェスへの精力的な出品もあってか、
有名なソロギタリストが使ってるとかあまり聞かない割に意外と知名度もある制作家でもある
                   ※ギタリスト森田大地さんの使用ギターとの情報あり
加えてかのドルフィンギターズも一押し!的な扱いをしていることでも注目される
先ほどの「アコースティックギター作りの匠たち」では武田氏がこのように語っている
(武田さんの考えるクオリティを超えているギターは、しっかり紹介する?に答えて)

   |最近では、西原(悠紀)くん(NISHIHARA GUITARS)なんかがそうですね。
   |たまたまフェイスブックで見つけて、パッと見た時に楽器の顔が良かったんですよ。
   |なので、その日に電話して、すくに京都の工房まで行って見せてもらいました。
   |音に関して少しアドバイスをさせてもらいましたが、作りはすこ'く良かったですね。
   |結果、仕上がったものも素晴らしかったてすね。
   |あと僕はルシアーさんのブランディングにも、少し力になれればと思っていまして。
   |ルシアーさんを間近で見ていて思うのは、
   |あれだけ手間をかけてギターを作っても、売値は50万円前後ですよね。
   |月に1本か2本しか作れないのに、それだと正直、生活がキツいでしょう。
   |なので、僕はもう少し高くてもいいかなって思うんですよ。
   |ルシアーさんの地位というか技術がもっと高く評価されてもいいんじゃないかと。

もちろん、私自身は見たことも触ったことも無いギターで、音もいくつか動画で聴いた程度だ
遠方なので、音も演奏性も自分で確かめるわけにもいかない
動画は何度も聞き返して、正直言えば「若すぎる音」という懸念はあったものの、
憧れ店「ドルフィンギターズ」の評価も伊達ではあるまい



言うまでも無いが、内戦は「欲望」の勝利でおわった
NISIHARAギターをうちの子としてむかえる決意は、かくして固まったのであった

自制心の敗北には、ちょっとした布石もあった
それはそう、しばしばさんのNISHIHARAギターオーダーの影響である
「いいな~~、ぼくも欲しいな~」という、
まっこと純真無垢な子どものような、この想い(笑)
このジュンな気持ちが、私の背中をそっとヤサシク後押ししたのは
とっても素直なziziさんであるから・・・・否定はしない

「イルカの誘惑」ならぬ「しばしばの誘惑」もけして小さくない敗戦要因だった

次回に続く・・・

10 件のコメント:

  1. こんにちは。
    イルカの誘惑って泳ぐ方のイルカじゃなかったのですね???
    超ビックリです\(◎o◎)/!
    (一応お約束なので・・・)

    初めて行った時のイルカさんは自分にとっても
    かなり高級店的なイメージが強く緊張したものでした。
    確かイルカさんの恵比寿店が出来てまだ1年ほどの頃に
    どうしても欲しい「Collings CW」を見に行ったのが最初でした。
    その時、対応してくれたのがイルカ恵比寿店が
    出来る前のショップからいたTさんでした。
    なんと自分のCWは前ショップオーダーギターで新品で売り、
    中古でイルカ恵比寿店で売りとTさんにとっても
    思い出多きギターだったのです。

    しかし師匠がそこまでNISHIHARAギターに注目してたとは、
    つい最近まで知らなかったです。
    日本のルシアーならヤモリや水道にいくのかなと
    想像していたので今回の件は想定外でした。

    レンデン・・・本当に美しいギターですよね。
    特に2017年からのNISHIHARAギターは誰が弾いても分かるほど
    レベルアップしているとのことでした。
    ギターフェスで他のルシアーさん達が高い評価をしていたことでも
    NISHIHARAさんのレベルがあがったことを証明していると思います。

    おっとあまり書きすぎると師匠のブログより長くなってしまうし、
    しばしばの誘惑(3/4)でコメントネタが尽きてしまうので
    この辺にしておきます。

    次の投稿楽しみにしてまーーーーーす。
    素直なziziさんの背中を優しく押すしばしばでした。。。

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  2. >しばしばさん

    おおお、誘惑の人(笑)
    いや、NISHIHARAへの注目というのも漠然としたもので
    「ここが素晴らしい」とか「この音が好き」といった
    具体的な感じでは決してなかったです
    ただ、妙に露出度も高いし、なんとなくイルカ評価も高そう
    なんでだろうという興味に近かったかもしれませんね
    後はやっぱりシェイプと全体的なバランス感
    これはちょっと前から素晴らしいって思ってました

    なにせ手に取る機会が無いもんだから
    妄想は膨らむばかりで(笑)
    で、去年7月に1度J-GUITARにでて、「おおおお!」ってなって
    でも安くはないし見送って
    今年になってまたJ-GUITARに出て
    「なんで売れないかな~」とちょっと心配にはなったけど
    このときにはもう妄想が極限まで膨らんでたので(爆)
    ついついお電話してしまいました

    実際に届いてみて音は期待通りです
    そして作りもとても丁寧で、
    今のところ作りに関してはどこにも突っ込みようがないです
    弾きやすさも十分で、特にナットの高さが絶妙です
    ローフレットでの負担がほとんど無いのは嬉しいですね
    それとやっぱりネック
    シェイプのこともあるけど、ネック裏の触感がもう素晴らしい
    まだ数日しか弾いてないけど、減点ポイントは見当たらないです
    まあ音が若いとかそんなところは時間が解決するので
    全く減点ではないですね(笑)

    あと業務連絡ですが
    内部の塗装は、僕が見る限りは「無塗装」に見えます
    オイルフィニッシュって感じでも無いです

    しばしばの誘惑、ほんと感謝しています
    でももうお金無いので(^_^;)
    誘惑はほどほどにしといてくださいね~~~~(笑)


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  3. 師匠 おはようございます。

    私が寝込んでいる間に、
    なんと、すんごいギターを買っちゃいましたねぇ。
    イルカさんの誘惑は、
    ギター弾きにはほんと厄介ですよね(^_^;)
    まさに、ライン川のローレライ、
    詩人のハイネも書いています。
    惑わされたらあきまへんで、と。
    もっとも、その惑わしも、
    師匠には計算の内だったでしょうけどぉ。

    しかし、私おもいますけど、
    これだけの文章力、
    師匠は音楽より文学の才能に長けておられるようで・・・
    失礼な? 褒め言葉ですo(^-^)
    厄介だったのはイルカさんじゃなく、
    博士だった、というオチもなかなかd(^_^o)です。

    それにしても、残念。
    私のタカミネ君、
    師匠に引き取って貰おうと思っていたのに
    ダメになっちゃいましたね。
    なに、小遣いは無尽蔵だ?
    そ、それはそれで心配ですけど・・ハハ(^_^;

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  4. >ひめさま

    そうですか、最近お姿を見かけないと思ってましたら
    そういうことでしたか
    お加減いかがですか?、早く良くなりますように

    そうですね、まさにローレライ(笑)
    ずっと「そんなん、平気じゃ!」って感じだったんだけど
    一度耳に入ってしまうとやっかいですね~
    しっかり籠絡の憂き目を味わってしまいましたです
    でもまあ、NISIHARAは土曜に届いたんですが
    ほんとに良いギターで久々の快感でもあります
    忙しくて弾く時間もあまりないんですが
    スタンドに立ってる姿を見るだけで、疲れが飛びます(笑)

    文章はもともと好きですし
    褒めていただけるとギターを褒められるより嬉しいかも(笑)
    小学生まで本のムシだったことも影響があるのか
    テキスト打ってると妙に落ち着きます
    ただ、しばしばさんが布石になっていたことは当初の文章にも
    あったんですが
    「しばしばの誘惑」という言葉は
    しばしばさんがメールでくれた「じゃあ、しばしばの誘惑ですね」
    というのをパクらせてもらったので
    お褒めを独り占めしたのではしばしばさんに申し分けないかも(笑)

    あと2回とりとめの無い話が続きますが
    体調が許すようでしたら、また読んでやってくださいね!

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  5. あらまー。
    すごいですね。
    まだ1月ですから、お年玉と言うことなのかと思います。自腹のね。(笑)
    それにしても、物語ですね。
    しかも、また4/2。
    次回と次々回が楽しみです。
    こういうのを読むと、んー。私も何か血が騒ぎますね。

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  6. >丸に橘さん

    まあ、ギターはもう買わないつもりでしたが
    思わぬことが起こるのも人生というもの(笑)
    それに、もう間違いなく「残り時間」の方が少ないのですから
    今のうち!って感覚もあったかもです

    どぞどぞ、どんどん血騒がせてください!!
    丸に橘さんの次の1本も期待してます~~

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  7. ziziさん、はじめまして。
    キラキラ45です。
    しばしばさんのブログから、飛んできました。
    ziziさんのたくさんのギターや機材…それに、文才にビックリです(@_@)

    NISHIHARAギターを購入されたんですね!
    私は、少ししか弾けないのですが、東京アコースティックギターフェスに2年前から行っていて、初めてNISHIHARA ギターを見た時…、一目惚れ…\(//∇//)\
    ギターやブースや西原さんの雰囲気が…シンプルで地味とは違う落ちつきがあり、品がよく、センスがよく…
    他のどこよりも気に入ってしまい、誰かが弾いているのを聴いたり、離れた場所から見つめていたのでした…。
    ホームページも何だか雰囲気よく、去年、ギターフェスに行った時も、あ〜やっぱりいいなと♪

    私は自分ではあまり弾けないし、買えませんが、ziziさん羨ましいです。
    動画楽しみにしてます♪

    返信削除
  8. >キラキラ45さん

    ようこそこの辺境にいらっしゃいました
    お時間の許す限りごゆっくりしていってくださいね

    確かにたくさんのギターに囲まれてはいますけど
    ギターの価値、って基準で見れば
    もうしばしばさんに比べれば全然カワイイものです(笑)

    NISIHARAギター、毎日なでなで、弾き弾きしとります
    音も姿も素晴らしいのですが
    なんとも品の良いその姿から想像付かないような
    どえらく元気な音が飛んでくるという
    なんとも言えないギャップもすごく魅力なギターですね

    ギター紹介記事は2月5日アップ予定ですが
    その前にマイクの紹介記事を1日にアップします
    その中でNISHIHARAの音を録ってるんですが
    キラキラ45さんのご訪問記念で超フライングの音源をプレゼント(笑)

    https://soundcloud.com/zizi-guitar-2/se-2200a-1

    ただ、残念ながら練習始めたばかりの曲を選んでしまったので
    演奏の方は酷いですけど、ご容赦のほど(^_^;)
    この音源はリバーブ無しですが、1日の記事にはリバーブ付きもアップします

    マニアックすぎると何かと不評のブログですが(笑)
    よろしければまたご訪問くださいね
    お待ちしてます!!


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  9. キラキラ452018年1月28日 0:00

    ziziさん
    早速、動画…フライング音源!?ありがとうごさいます\(^-^)/

    練習始めたばかりの曲との事ですが、
    そんな事は吹き飛んでしまいます。
    感激です!
    若さを感じる音ですね♪

    マニアックとの事ですが、頑張ってついていってみます〜2/1も2/5も楽しみにしてます(^^)v

    返信削除
  10. >キラキラ45さん

    おお、早速聞いていただけたのですね、ありがとうございます
    せっかくのサンプル音源だというのに
    2、3日しか練習してない曲を選ぶあたりが、僕らしいとも・・・(笑)
    ちなみに曲は岸部眞明さんの「MIDNIGHT BLUES」といいます

    音はほんとに若さ満点なんですが
    弦の劣化で最近少し落ち着いてきたようにも思います
    これからが楽しみなギターです!

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