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2024年12月30日月曜日

ZOOM MS-90LP+ MultiStomp 【②録音音質編】

さて、音質編などといきりたおして見たものの、いったい何をどう示せばいいのやら

録音性能に関する商品説明は?


まずはZOOM社の商品説明をたどってみましょう

■重ねても、重ねても、クリアなサウンド
フラットな位相特性のアナログ入出力回路による、クリアでオープンなサウンド。デュアルAD回路 & 32bitフロート処理の採用による、広大なダイナミックレンジと高いS/N比。音の劣化を気にせず、思う存分にフレーズを重ねることができます。

■最大100種類のループを保存
内蔵メモリに、最大100種類のループフレーズを保存可能。1ループあたりステレオ90分、合計で13時間以上の録音が行えます。練習中に思いついた新曲のアイディアやフレーズを、高音質に記録しておく使い方も可能です

■ステレオ入出力に対応
インからアウトの全回路にわたってLR独立で処理する完全ステレオ設計。ギター/ベースはもちろん、ステレオ出力のシンセサイザー、サンプラー、エフェクターを接続して、ステレオで録音することが可能です。

さてと、これらを踏まえ検証しておきたいことを取りまとめるとこんな感じでしょうか
 ①32bitフロート処理の実力やいかに(ステレオ録音&出音)
それに加えて、私自身が重視する音質に以下があります
 ②「スルーの音質」に劣化はないか
私のシステムにおける接続は下図のとおりです
MS-90LP+は必要な時につなげるのではなく、図のようにシステムに組み込んで使うので、使用時間の99.99%はルーパーとしての仕事をしていない状態、すなわち「MS-90LP+を通過した音」を聴いている(使っている)わけです
なので、ギター&ボーカルの音が劣化なくミキサーに到達するか否かは、私にとっても最も大事な音質問題なわけです


32bitフロート処理の実力?


【32bitフロートのメリット】
細かい理屈を説明するほどの知識はありませんが、端的にメリットを述べると
「大音量に対する許容値が著しく増大→大音量でも歪まない」
ということになります
ん?まだ少しわかりにくいですねw
下図のように32bitフロートではダイナミックレンジが異様に広く、0dbを超えて歪んだ音を含む録音データであっても、音量を下げれば歪まない音が得られる、要するに「大音量でも歪まない(クリップしない)」ということになるわけです


具体的に示せば以下のような感じ、32bitフロート以外の録音だと「クリップした録音は音量を下げても歪んだ音のまま」なのですが32bitフロートだと歪んでない音に戻せるわけです
〇完全な入力オーバーでクリップしてしまったファイル(32bitフロート録音)
〇音量を10db下げる、まだクリップしているが少し波形がうかがえる
〇音量をさらに15db下げるとほぼ正常な波形が現れる

で、ここからは私の想像になりますので的外れなら「ごめんなさい」です・・・
ルーパーの役割は「音を重ねる」ことになるのですが、音というのは重ねるほどに大きくなっていきます
人の声で言えば一人より二人、二人より三人の音量のほうが大きくなるわけですから、何度も重ね録りをし、かつ位相が揃ったりする(波の頂点が一致する)と、音が歪むこともあるわけです
ルーパーの中には、重ね録りの時点で元音量を若干下げたりして対応するものもあるかもしれませんが、MS-90LP+の場合は「重ねて大きくなってもどんとこい!」って方向での対処をしてるわけですね
「音の劣化を気にせず、思う存分にフレーズを重ねることができます」とはそういうこと(+S/Nの良さ)を言ってるのではないかと思われます

【とりあえず重ね録りの前に素の音質を確認しとこう】
私がいつも使ってるデジタルレコーダーは「BERINGER XR16のUSB録音」です
16bit、48kHzということでごく平凡なものですが、それほど不満もないのでそれとの比較をしてみました(全く同じ音源を同時録音)
 ・ZOOM MS-90LP+:XR16のAUXOUTから録音(32bitフロート、44.1kHz)
 ・BEHRINGER XR16:入力ソースをUSB録音(16bit、48kHz)
細かな数値的比較はできませんが、私はどちらも同程度の音に聞こえます
 ※音源は私の弾き語りなのでクオリティにはどうか目をつぶってください

【さてそれでは重ね録りの音質を確認してみよう】
ZOOMさんが言う通り「思う存分にフレーズを重ねてみよう」ってことですが(笑)、ここで重大な問題は私自身のポンコツスキルであります
とはいえ、センスあふれるルーパーパフォーマンスは無理としても、重ね録りくらいは何とかなるので、10人構成の合唱団でも呼んでみましょう
ボーカルを10回重ねた結果はやはりクリップして歪んでいますが、音量を7db下げるとクリアな音になります、さすが32bitフロートですね
 ※音源は先ほど同様、私の弾き語りです(音量にご注意ください)


上:オリジナル  下:-7dbしたもの

【ループ録音時の注意点(勘違いでなければそこそこ重要)】
まだ届いて3日目ということで私の理解不足も十分あり得ますが、使っていて「え????」ってことがありましたのでメモとして残します

 ①AUTO SAVEに設置していても、メモリの切り替え動作をしない限り保存されない
  ループ録音直後に電源を切ると何もセーブされないので注意が必要
 ②PC接続してWAVファイルを取り込んでも、そこにリズムは記録されていない
  MS-90LP+でリズムシンクを設定していても、WAVには記録されません
  どうやら録音対象はフレーズのみでリズムはMS-90LP+がその都度生成してるみたい
 ③リズムの設定(リズムパターン、テンポ、音量、プリアカウント等)は
  メモリーごとにクリアされ、メモリ切り替えの際には継承されない
  継承したい場合はコピーして録音を消すという使い方が基本になりそう

スルーの音質やいかに?


MS-90LP+の録音音質ではなく、「MS-90LP+を通過することで音の劣化は生じないか?」という検証であります
以下、上はオリジナルの音、下はMS-90LP+を通過した音であります
まあ気持ち程度ですが、音が丸くなったかな??って感じもあるようなないような(笑)
私にとっては十分許容範囲です


まとめ


基本的な音質に関しては合格!と言えます
ただし、私の要求レベルってそんなに高くはありませんので、皆様ご自身の感覚でご判断いただければと思います
それにしても、32bitフロートというのはなかなかにすごいもので、重ね録りによる音量増を気にすることなく使える安心感は大きいです
もちろん、ボーカルを10回重ねるなんでことは実使用上は無いのでしょうが、楽器でもボーカルでも位相が揃うって可能性はあるでしょうから、転ばぬ先の杖としての32bitフロート、ありだと思います
ただ、WAVではPC上で音量を下げることでクリップ回避が可能ですが、MS-90LP+ の出音においては過大な音量だとクリップします
この場合はMS-90LP+のボリュームを下げるなどすればクリップしない音が得られますが、パフォーマンスの途中では難しそうですww

一つ大いに残念だったのは、WAVデータにリズム音が保存されないことです
私の勘違いかもしれませんが、リズム音あり、リズム音無しの選択はあってもいいのにと思わずにはいられません
リズムを含むMS-90LP+ の出音をレコーダーで録音すればよい話ではありますけどw

では最後のお耳汚しに、リズム付きの10人合唱団をお聴きくださいませ(笑)



 ZOOM MS-90LP+ MultiStomp 【①リズム編】
 ZOOM MS-90LP+ MultiStomp 【②録音音質編】
 ZOOM MS-90LP+ MultiStomp 【③まとめ編】
 ZOOM MS-90LP+ MultiStomp 【④MIDI編】


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