あまり大上段に振りかざしてしまうと、振り下ろすところがなくなって焦りそう
それに「たいした音も作ってないあんたが言うか」とのご意見も重々予想がつきますが
「そうか、あんたはそう思うのか」くらいの気持ちでご笑納を!
また、ここでのお話は機材を使った音作りのことで、生音をどうこうしようって話ではありません
あくまでアコギのラインサウンドについての私の考えということになります
まずは・・
機材選定に入るのは少し待っていただいて、その前に考えておくべきことがあります
それは、「なんのために、どんな音が欲しいか」
①音作りの目的は?
いろいろありますよね、「ライブ」とか「宅録」とか「アンプから良い音がでればそれでいい」とか
オールマイティに使える音というのが存在すれば良いのですが、それはなかなか難しい
でも目的ごとにシステムを作るというのもそんなに現実的ではないので
実際問題としては同じシステムで調整によって使い分けるということになります
ただ、本来は目的によってシステムの作り方も変わってくるので
メインの目的をある程度定めて機材選定を考えることが必要だと思います
また、ライブの場合は、どんな環境かということもある程度関連してきます
ほぼ決まった場所でやってて、そこにしっかりしたPAがあるなら
「自分のシステムはなくてもOK」という選択も十分あります
音作りは楽しいけど一度踏み出してしまえばあとは泥沼です(笑)
深みにはまる前に勇気ある撤退という判断もアリだと思います
②どんな音が好み?
目標とする音のイメージがはっきりしているか、ということですね
でもこれは本当に難しい
演奏のジャンルや単純な好みなど、いろんな要素がかかわるし、感覚的な経験値の蓄積も必要
それに、まことにやっかいなことに「それは時間とともに変わるもの」なのであります
ですから、イメージが明確なことにこしたことはないけど漠然としててもかまいません
「生音に近い」「迫力が欲しい」「暖かで柔らかい」「晴れ渡る青空のような清涼感」等々
そんなイメージ(目標)をとりあえず決めてみましょう
もちろんyoutubeで聴いたあの音とか、ライブのあの人の音とかでもかまいませんが
その場合は、あわせて情報収集を(笑)
どんな機材を使ってるのかを知るだけでも目標までの道程は直線に近づきます
一般的な機材の構成
大雑把ですが、アコギのラインシステムでの機材構成は以下のようになります
(◎:とても重要、○:重要、●:あった方が便利、△:好みで選ぶ)
①ピックアップ(重要度◎)
|ギターの生音を電気信号に変換する機材、これがなければ始まりません
|ライン音の入口として無くてはならないだけではなく
|この音質が最後までライン音の主役であり、
|各種エフェクトでは変えられない「素性」のような部分を担う、最も需要なパーツです
|よくピックアップのレビューで
|「EQでなんとかなる程度・・」とか書かれることもありますが
|プリアンプやEQで「なんとかする」前に、
|自分の必要とする音に近いPUを選ぶことが音作りの第一歩かと思います
|ただ、同時に試奏が最も難しい機材でもあるし
|エレアコの場合はそもそもピックアップを選ぶと言うこと自体が難しい・・・・
|「あなたそんなこと言ったって・・」というご意見、良く分かります
|でも、やっぱり重要度だけを語れば、ね!、大事なのよコレ(^_^;)
②プリアンプ(重要度○)
|ピックアップの音を増幅(場合により音質調整も)する機材です
|ピックアップには大別して出力の大きなアクティブPUと出力の小さいパッシブPUがあり
|アクティブPUの場合はプリアンプが不要な場合もありますが
|一般的なプリアンプはイコライザー(EQ:音質調整)を持っている場合が多いので
|別途EQを用意しない場合はアクティブPUの場合でもあると重宝する機材です
|パッシブPUの場合は「ほぼ」必須と考えて良いと思います
③イコライザー(重要度:○or●)
|音の周波数帯ごとに音量を増減する機材です
|EQの機能は必須に近いくらい重要と考えていますが
|優秀なEQがプリアンプに搭載されていれば単体のEQは不要なこともあります
|しかし、単体のEQはプリアンプ付属のEQに比べて、柔軟で多彩な調整が可能で
|音作りの幅を格段に広げてくれるので、私には重要な機材です
④空間系エフェクター(重要度:○)
|リバーブやディレイのように残響を付加する機材です
|ソロギターの場合、リバーブはほぼ必須と言っても良い機材ですが、
|ディレイはお好みと言った感じです
|製品による音の違いも大きく、機材の中では最も選択に苦しむものです
⑤ダイナミクス系エフェクター(重要度:△)
|コンプレッサーやリミターのように音量・音圧を制御する機材です
|どちらかと言えば入門用というより経験、知識、優れた感覚を要する上級用であり、
|必須ではありませんが、上手く使えば良い仕事します(笑)
⑥モジュレーション系エフェクター(重要度:△)
|コーラスやフェイザーなど、原音に異なる音を加える感じの機材です
|かけっぱなしと言うのはほぼ無いと思うので
|ここぞ!って時に使う感じですから当然必須ではありません(お好みです)
ピックアップ
最も重要と書いたピックアップですが、大きく分けて4つの種類があり
加えてそれらをミックスするタイプも存在します
①アンダーサドルPU(ピエゾ系)
|サドルの下に細い帯状の圧電素子を敷いて弦振動を電気信号に変えます
|特に低音弦で顕著な独特のブリブリっとした音は好みが分かれますが
|マグネットPUに比べるとやや空気感もありますが
|サドル下に異物を挟むので生音への影響も少なからずあります
②コンタクトPU(ピエゾ系)
|トップ板に平板状の圧電素子を貼り付け(通常はボディ内部)、
|トップ板の振動を電気信号に変換します
|同じ圧電素子でもアンダーサドルよりも「ブリブリ」したピエゾ臭さは少なめで
|良質なコンタクトPUだと生音に近い雰囲気の出力が得られます
|また最近の奏法で多いボディタップなどの音も綺麗に拾います
|生音への影響も最小限で済みますし、私的には優れたPUだと思います
|しかし、貼付の位置決めに相当の経験を要することや
|マイクPUほどではないですがハウリング耐性がやや低いというデメリットもあります
③マグネットPU
|一般的にはサウンドホールにはめ込む形で装着し、弦振動を電気信号に変えます
|最も大きなメリットは「迫力ある低音が楽しめる」という部分にありますが
|加えてハウリングにも強いという特性があります
|反面デメリットとしては、やはり空気感や表情に乏しい「のっぺりとした音」で
|エレキに近い感じになってしまうのは、構造上やむを得ないのと
|トップ板の振動を阻害して生音の「鳴り」を弱めてしまうということです
|しかし、マグネットPUも製品ごとに音の個性があり、ある程度の選択幅があります
④コンデンサーマイクPU
|小型のコンデンサーマイクで音を電気信号に変えます
|マイクですから、生音に近い音を拾うことが可能ですが、弱点はハウリングになります
|しかしライブ目的ではなく宅録目的ならハウリングはほとんど考えられないので
|ラインサウンドでも生音指向の方には向いていると思います
この4種類の特性をいろんな角度から整理するとこんな結果になります(一般論です)
◆生音感
コンデンサーマイク>コンタクト>アンダーサドル>マグネット
◆迫力
マグネット>アンダーサドル>コンタクト>コンデンサーマイク
◆ハウリング耐性
マグネット>アンダーサドル>コンタクト>コンデンサーマイク
ミックスタイプはこういった特性を踏まえて、「いいとこ取り」や「補完関係」といった視点から
考案されたもので、例えばこんな感じです
「迫力がありながら生音感も欲しい」なら「マグネット+コンデンサーマイク」
「生音感を最優先したいが迫力も欲しい」なら「コンデンサーマイク+アンダーサドル」
「迫力重視だけどボディータップを拾いたい」なら「マグネット+コンタクト」
こういう風にピックアップを整理してみると、冒頭に書いた「なんのために、どんな音が欲しいか」
ということの大切さが良くわかっていただけるのではないかと思います
ピックアップの基本的な音色というのは、各種エフェクトで多少の補正は可能ですが
極端に変えることはできません
そこを十分に認識して、慎重にピックアップを選ぶことが大事です
音作りの基本?
基本的な音色はピックアップでほぼ決まりましたね
選んだからにはもうマグネットの音をコンタクトみたいにしたいとか、マイクみたいにしたいとか
そんなことはできません(笑)
※)そういう製品もあるにはあるんですが話が複雑化するのでここでは無視します
しかし、ここから先の話は私ごときが語るのもオコガマシイのは十分承知しておりますが、
zizi氏のマチガイも思い違いも、ま許したろかという寛大さでお読みいただけるとありがたいです
さて、ソロギターで好まれる音色ってどんなものなんでしょう
●芯が太い、●空気感が豊か、●きらびやか、●迫力あるボディ鳴り、●柔らか、●抜けがよい
●温かさがある、等々
ぶっちゃけどう実現するかは、機材とその調整技術にかかってきます(あったりまえ~w)
ここでは、ソロギターのラインサウンドで必要な最低限の機材で考えてみましょう
それはプリアンプ(EQ付き)とリバーブ
これまで、このブログでもコンプレッサーやディレイなどさんざん語ってきましたが
最小限かつ超基本ということになると「プリアンプ&リバーブ」です
【プリアンプ(EQ付き)】
ここでは主に音量(プリアンプ機能)と音質(EQ機能)を調整します
では上に書いたようなソロギターで好まれる音色のイメージとここでの調整の関係を
大雑把に示してみましょう
◆プリアンプ機能と関係が深い:●芯が太い、●抜けがよい、●温かさがある
◆EQ機能と関係が深い:●空気感が豊か、●きらびやか、●ボディ鳴りの迫力、●抜けがよい
プリアンプ機能は、
機能としては音量調節ですが、それ以前にプリアンプ固有の「音」が存在します
それは、音量の大小やEQではなかなか変え難い部分なので、
プリアンプの持つ様々な機能性よりもずっと大事になってきます
私の場合で言えば最も大事なのは「抜けと太さ」であります
EQを全てフラットにしたときに、
籠り感のない抜けの良さがあること、そして、弦音に力強い芯を感じられることが私の基準です
さて「芯」とはなんぞや?(笑)、難しい話ですし私にとっても感覚的な部分ですが、
何というかアタック感の明瞭さ力強さのようにも思います
ともかく、EQフラットの状態で好みに近い音が出せるプリアンプ、コレが第一歩です
次にEQ機能です
以前の記事にも書きましたが、
ギターの弦そのものが出す基音は6弦開放から1弦12Fを使うとすれば
82.4Hz(6弦開放)~330Hz(1弦開放)×2=660Hz(1弦12F)となります
これに倍音が加わるので、ギターの音色としては概ね2~3kHzくらいまで感じていると思います
それより上は、弾弦の際の擦過音や、押弦のスキール音、その他の金属音等々
いわゆる空気感とかプレゼンスとかキラキラとかそんな領域かと思います
そのあたりを踏まえてEQ調整を考えていくと少し整理がしやすいかもしれません
さて、私の調整法はとても単純です
一般的なプリアンプには概ね3~4バンドのEQがついていることが多いです
よく見かけるのは「LOW,MID,HIGH」の表記ですね
やや「ドンシャリ系」の音が好きな私ですから
EQフラットの状態の音を確認したあと、好みでLOWとHIGHを少し上げ、
それでも「音が何か妙に安っぽい」と感じればMIDを削ります
もしも、PRESENCE(超高域補正)のEQがあれば、それを少し上げると、
現実感というか、生音に近い雰囲気が得られるようになります
「結局どんなプリアンプを選べば良いの?」
そこです(笑)、でも実際何台ものプリアンプを聞き比べるのも難しい話だし
使い込みとか調整がキモになるプリアンプを短時間の店頭試奏で選ぶのもかなりハードルが高い
まず、100点満点の理想のプリアンプに1発目から遭遇するのは無理と知りましょう(爆)
私たちがネットで知ることができる情報は、価格と評価の2つです
100点は無理でも一定レベル以上ということで、後々後悔しないためには
やはり5~10万円クラスの製品から選ぶのが無難と思います
それらの中からネットレビューを調査し、
自分のプレイスタイル、好みを当てはめながら選定するしか無いのであります
あ゛~もちろん「運を天にまかせる」という選択もアリですが(笑)
【リバーブ】
これは、以前「
ソロギターとリバーブ」という記事に詳しく書きましたので
ご興味があればまずは読んでみてください
リバーブは、プリアンプ以上に好みのウェイトが高い機材です
それだけに、これ!という選定の決め手が無いのですが、
上記の記事にも書いたヒントをここで再度ご紹介してみましょう
◆あこがれのギタリストと同じの選んでみる ある意味王道(笑)、私自身も最初はこの方向でした
◆自然で優しいリバーブならLexiconを選んでみる
Lexicon製リバーブもしくは、DigitechのPolaraやRV-7といった
Lexiconアルゴリズムを搭載した機種を選びます
◆爽快感と透明感のあるリバーブならTC Electronicかストライモンを選んでみる
爽快感とか透明感とか言っても難しいとは思うのですが
抜けが良くすっきりとしたリバーブという感じでしょうか
TCとストライモンどちらを選んでもそれほどがっかりすることは無いと思います
◆リバーブの質はそこそこで良いならオールインワンを選んでみる
例えばZOOM A3のようなマルチエフェクターを選ぶわけ
ライブの荷物を減らしたいなら、こういう選択もあります
ここで、リバーブを使用、調整する上での留意点がいくつかあります
①ライン出力の最終段に接続する
|絶対!とは言い切れませんが一応のセオリーです(理屈は良く分からないけどw)
|本記事ではプリアンプとリバーブという最小構成で書いているので
|当然、接続はプリアンプ→リバーブの順です
|その他のエフェクターを接続した場合でも、リバーブは最後に接続します
②私はDECAYを長め、MIXを小さめに調整
|DECAYは残響の長さを、MIXはDRY(エフェクトのかかっていない原音)と
|WET(エフェクトのかかった音)の混合割合を意味しますが
|基本的にMIXを上げると音像がぼやける傾向があります
|私は、十分なリバーブ感とくっきりした音像を両立するため上記の設定をします
|もちろんこれは私の好みですが、DECAYとMIXの組み合わせで
|かなり感じが異なることを知っておくと調整のかんがえ方がわかりやすくなります
③PRE DELAYコントロールがあればやや長めに設定
|PRE DELAYはリバーブ効果がスタートする迄の時間です
|これが短いとアタック感やクリアさが弱くなることがあるのでやや長めに設定します
|「あれば」と書きましたけど、できればPRE DELAYコントロールのある機種が
|望ましいです
④リバーブエフェクターの特性を知る
|リバーブエフェクターがどのようなアルゴリズムで残響を付加しているのかを
|知るのはなかなか困難なことですが
|一般に原音の周波数帯全てに均一に残響を付加するものは少ないと考えられ
|残響を付加する周波数帯を一定範囲に限ったり、周波数ごとに残響の強弱を変えたり
|といったことでそのエフェクターの特徴が形作られているのでは無いかと
|(私は)思っております
|よくPUやプリアンプに対して「リバーブのノリが良い」とかいった評価を目にしますが
|これも、リバーブエフェクターに入ってくる前の音の周波数特性が関与したものと
|言えそうです
|STRYMONのようにHIGH DUMPやLOW DUMPといったコントロールがある場合は
|それらを積極的に活用したり
|無い場合は、プリアンプのEQ調整でリバーブの反応の良い周波数域を探って
|そこをブースト/カットすることで間接的にリバーブの雰囲気を制御することもあり得ます
|(あまり現実的とは言えませんけど・・・w)
おわりに
このように書くと音作りがとても難しく見えてくるかも知れません
実際、ここに書いたような「理詰めの音作り」というのは、
好み、感性、耳というのが意外に大きなハードルになったりするものです
うまくいけば理想の音に一直線にたどり着ける可能性もありますが
機材や音に対する経験&情報の蓄積があまり無く、
※こんな記事書いてて変な話だけど、私も情報の整理と理解がまだまだ・・・溺死寸前(笑)
これから「やってみたい~」という方だと、機材選定も調整も試行錯誤は避けられません
しかし、そこで尻込みしてしまのはもったいない!
理屈はともかく、たとえ闇雲であっても果敢に挑戦することこそが、
自分の音の世界を広げ、もしかすると理想にたどり着くという僥倖を得るかもしれないからです
経験も知識も限られているとき、最も頼りになる道しるべは「人まね」であります(笑)
良いと感じる音を探し、その音を紡ぎ出している機材の情報を得ましょう
最近は複数のピックアップをブレンドして出力するケースも多く
人まねと言ってもそう簡単ではありませんが、
例えばライブで「すごい音」を聴いたなら、その人に機材情報を聴いてみましょう
もしも許可が得られたら写真も撮らせてもらいましょう
きっと役に立つと思います、あ、もちろん「感動しました~!」という言葉とともに、ね(笑)
もう何度も自分の機材情報は当ブログで晒しておりますが
どなたかの参考になればということで再度書いておこうと思います
◆目的:宅録及び配信
◆音のイメージ:基本的に抜け重視のさわやか系だけど、可能な限り音の芯を残したい
①イコライザー:MXR M108S
②コンプレッサー:Miura Guitars U.S.A. M2 Compressor/Limitter
③プリアンプ:ALBIT A1FD aco
④ディレイ:Strymon TimeLine
⑤リバーブ:Strymon BlueSky
ちなみに③はEQ全てフラットで、音量調整のみです
セッティング上の難関は④ですが、これについては当ブログのどこかに情報があるので
探してみてください(笑)