2018年7月4日水曜日

ソロギターで使えそうなコンプレッサー(所有機編①)

それでは、ソロギターでもおすすめできそうなコンプレッサーをいくつかご紹介していきましょう
ただし、完全主観に基づくものですので、
もしもご購入を検討される場合は、ご自身で入念なリサーチをお願い致します

【関連記事】

  ①ソロギターにコンプレッサーは不要か?
  ②ソロギターで使えそうなコンプレッサー(所有機編①) ←本記事
  ③ソロギターで使えそうなコンプレッサー(所有機編②)
  ④ソロギターで使えそうなコンプレッサー(興味◎編)

1.所有品からご紹介編


EMPRESS EFFECTS COMPRESSOR


【製品の概要】

Empress Effects(エンプレスエフェクト)は、
2008年にスティーブ・ブラグを中心とするカナダの天才技術者チームにより立ち上げられました
ペダルエフェクターを中心に製造しているメーカーですが
レコーディング機材レベルの音質を持つ、多機能かつ斬新なアイデアのペダルエフェクターは
プレーヤーの注目を集めています(ということらしい・・w)
パネル上のコントロールは、以下のとおりです

 RATIO(スイッチ)
   |2:1、4:1、10:1の3種類を設定可能
   |言い換えればそれ以外は選択できないが、実用上は問題ないと思います
 METER(スイッチ)
   |LEDメーターの動作をinput、both、grの3種類から選択
   |input:入力音量(input)に応じて緑のLED が左から表示される
   |gr(ゲインリダクション):コンプレッションされた量に応じて赤のLED が右から表示される
   |both:左右からinput、gainが表jされ重なる部分が黄色のLEDで表示される
 INPUT(コントロール)
   |コンプレッサーに入力される音量を調整、大きくするとコンプレッションも通常大きくなる
   |ゲインとスレッショルドのコンビネーションコントロールだろうか
 ATTACK(コントロール)
   |入力信号に対してコンプレッサーがいかに素早く反応するかを決定
   |50u~50msec 間で調整可能
 RELEASE(コントロール)
   |コンプレッサー動作後にレベルが元の状態に戻るまでの時間を調整
   |50ms~1sec で調整可能
 MIX(コントロール)
   |コンプレッションされたエフェクト音(Wet)と、原音(dry)のブレンド量を調整
   |右一杯(100%)でWet(コンプレッション音のみ)、左一杯でDry 100%(原音のみ)
 OUTPUT(コントロール)
   |コンプレッション後の最終出力を調整。コンプレッション動作には影響しない

 
 【感想など】

まず、ほぼノイズを感じないことに驚きます、地味だけど超重要なポイントです
コンプの効きは滑らかだと思うが、効果をわかりやすく体感できる程度にはパワフル
プリアンプの前段に設置と言うことでinputはかなり上げていますが
RATIO=4、input=3時、ATTACK、RELEASE、MIX=12時、output=11時
の設定で十分な効果があります
もっと控えめなコンプレッションとする場合は、
MIXを下げるか、inputを下げてoutputを上げるといった操作で調整可能です

MIXコントロールがあるというのも他のコンプレッサーではあまり見かけない特徴です
このコントロールのおかげかどうかわかりませんが、
コンプレッション以外の音の味付けというのも非常に少ない気がします

ネット上での評価も高く、安心して使えそうなコンプレッサーだと思います
一般的なパワーサプライのDC9vで動作してくれることも高得点です


FMR AUDIO RNC1773(E)

【製品の概要】

なんと「20万円クラスのコンプにも匹敵!」する(らしいw)
ネットでの評判はすこぶる良いし、「多段コンプ」を可能とする「スーパーナイスモード」で
よりナチュラルなコンプが可能です
もともと楽器用では無く、楽曲のマスタリング等で使うことを想定したコンプレッサーのようで
ステレオ仕様になっていますが、LRどちらか一方のチャンネルを使って、ソロギにも使えます
しかしその場合、いくつか注意が必要です

1つ目は「インピーダンスの問題」です
RNC1773の入力インピーダンスは20kΩなので、ギターのピックアップから直接入力する場合、
電池を要しないパッシブPUでは出力インピーダンスの確認が必要です
とはいえ、確認自体もなかなか難しいので、とりあえずハイインピーダンスと想定して
ギターとコンプレッサーの間にエフェクターかバッファーを入れるのがベターでしょう
(アクティブピックアップの場合はおそらく問題ないと思います)

2つ目は「入力レベルの問題」です
ラインレベルの入力を想定した機材なので、ピックアップ直では入力レベルが小さすぎて
適切なコンプレッションが得られないことが考えられます(特にパッシブPU)
この場合はギターとコンプレッサーの間にプリアンプを入れる良いと思います

3つ目は「電源」です
少しややこしいですが、RNC1773Eの電源は製造時期によって電源仕様が異なります
 ・代理店に2017年2月入荷分以前:9VAC(500mA)
 ・代理店に2017年3月入荷分以降:12VDC(500mA、センタープラス)
説明書にも「必ず製品に同梱されている電源アダプターのみをご使用・・・」とありますから
付属アダプターを使用する限りは問題ないですが
ソロギターに使う!ということで、ボードに組み込んだりするむ場合は十分に注意してください
(特にDC、ACの違いとDC電源の場合の12vセンタープラス)

 【感想など】

まだ、感想を述べるほど特徴をつかめてない(笑)
でもローノイズであること、コンプ臭さを感じさせないことについては間違いないです
ただ、コンプは全帯域にかかるのですが、音量の大きな「低域」により強く反応するようで
EMPRESSとは異なるEQ処理が必要なように思います
あとは、以下のサンプル音源での皆さんの判断にお任せします

Miura Guitars M2 Compression / Limiter

【製品の概要】

Miura guitars U.S.A. Incは、1996年にXotic guitarsから独立しHiro Miura氏が設立
M2 Compression / Limiterはブランド初のストンプボックスです
原音に対して乖離が無く、弾き手の出したニュアンスに的確に追随します。
クリアなトーン、素晴らしいレスポンス、スポイルされることのないレンジ感は
多弦ベースへの使用においても大きな効果をもたらします

「このコンプは音質や音量を低下させず、ローエンドをクリアに保ってくれる」
「ハイエンドとローエンドが非常に安定している事に加え、非常にレスポンスが良いので、圧縮されている感がない。とにかくこのトーンは驚異的だ!」
「霧が晴れたよう」・・・・・あかんわ、殺し文句やわ、これはあかんわ

 【感想など】

ベース用、ということは経験則でアコギもオッケーと勝手に判断したわけですが(笑)
前段のEQも含めたセッティングの煮詰めが未了で、詳細な評価はまだできないです
しかし「自然なかかり具合で抜けが良い」ということに関しては「なるほど~」と頷けます


サンプル音源

以下、「コンプ無し」「EMPRESS」「FMR AUDIO」の音源です

【コンプレッサー無し】 LOWDEN O-32 & SUNRISE S-2 です(以下全て同条件)

【EMPRESS COMPRESSOR】
MIXコントロールのおかげかとても自然に音圧レベルをそろえてくれてます。S/Nもグッド!

【FMR AUDIO RNC1773E ノーマルモード】
ノーマルモードですが、設定はまだ全く詰められていません、低域の持ち上がりが気になります

【FMR AUDIO RNC1773E スーパーナイスモード】
聴感上、ノーマルとの差はほとんど無いですが、波形的には一層音圧レベルが均一化します

【FMR AUDIO RNC1773E スーパーナイスモード EQ処理】
前段のEQで62.5Hz以下をそぎ落とし、4kHzを持ち上げてみました
RNC1773のセッティング自体がまだ未完成なので、応急処理ですが、少しすっきりしますね

【Miura M2 Compression】
コンプレッサー以外のセッティングは(5)と同じはずですが、少し時間が空いたので??な部分も
音源の最後で200Hzくらい?がやや残って耳に付くがEQで処理可能と思う


EMPRESSは、
MIXコントロールのおかげで、ソロギターのエフェクターとしては
とても使い勝手のよい環境を提供してくれると思います
音と使い勝手の良さの総合力でいけばEMPRESSでしょうか
RNC1773Eは、
まだまだ音の詰めができていない段階なので、
まだ実力発揮とはなっていませんが、調整の幅が大きく、今後の作り込みが楽しみです
今回、大きな失敗をしてしまったのはRNC1773EのATTACKが最小値設定してしまったことです
このためやや音の立ち上がりが「甘い感じ」になった可能性があります(笑)
Miura M2も
まだ煮詰められていない状況ですが
自然なかかり具合ということでは上の2機種と遜色ない感じです
音の抜け具合という部分では、RNC1773Eよりもやや良いと思える反面
少し音の硬さを感じるかな~とも思えます

さて、ここまで聴いていただいた皆さん
「なんや、コンプレッサーって言うほどの効果は無いやん!」
「コンプ無しの方がなんかすっきりして、ワシは好きやで!」
とのお言葉、のど元まででてます??、いや、すでにつぶやいてます?(笑)

もちろん、私の演奏技術では全サンプルを同じタッチで弾くのが難しいので
比較サンプルとして適切では無かった・・・ということもあるし
私の調整技術が全然未熟ということもあるんですが
ワタクシ、思いますに・・・
ソロギターというジャンルでのコンプレッサー使用に限って言えば、
「あからさまな効果というのは無くて良いのだ~!」、と(^_^;)

気持ち音が前にでる、クリップを気にすることが減った、これだけでも私には十分な効果です
当然、今後このサンプルより強めにかけたらどうなるか、
アタックやリリースを変えるとどうなるか、とかの試行錯誤はしていきますが
それも「コンプらしさを感じない範囲で」ということになります

ナチュラル系のコンプって割とお高いものが多いので
費用対効果という話になるといろんなご意見もあると思いますが
ziziギターミュージアムではコンプ導入を歓迎し、今後の研究対象と考えております(笑)


まとめ


今回の3機種を比較すると「音」としての違いはあまり大きくなく
どれもローノイズで自然なコンプレッションが得られます
その意味では、どれを選択してもアコギのソロギターに使って大きな問題はないと思います
FMR AUDIOは、音作りの幅が広い・・ということはギターへの対応幅も広い
MIURAはとても簡単にクリアなコンプレッションが得られる
という風に使い勝手では様々ということもありますが
そのなかでEMPRESSはMIXコントロールがある分、アコギにはなじみが良いかなと感じます

番外編


上で「RNC1773Eの電源は同梱電源アダプター使用が基本」とかきましたが
一応、汎用の電源サプライでも試してみました

     ※ ただし、以下の記述に関して、私はいかなる責任も負いません
       ご自身で実際に試される場合はくれぐれも自己責任でお願い致します

うちのRNC1773EはDC12vセンタープラス仕様です
使用した電源サプライはVital Audio/POWER CARRIER VA-08 MKIIなので
まず出力電圧を12vに設定します
しかし、このサプライからの出力は「センターマイナス」なので、
RNC1773Eの「センタープラス」に合わせるために「極性変換プラグ」を使用します
出力電流に関しては、RNC1773Eの500mAに対して、サプライは800mA出力ですから
一応これで大丈夫なはず・・・

この状態での出音は以下のとおりです
動作もしますし、ノイズレベルの変化なども特に感じませんでした
上記サンプル音源の(5)と同条件ですから、聴き比べて見てください




0 件のコメント: