tc electronic、往年の傑作エフェクターです
しかし、往年といってもそれほど古いわけじゃ無く、
明確な発売日は不明ですがAmazon.co.jp での取り扱い開始日が2010/7/19ということなので
そのあたりを発売日と考えれば、約8年程前の商品ということになります
G-naturalとは
アコースティックギター専用のマルチエフェクターです
やや大型のエフェクターで、エレキで言えば「フロアマルチ」といった種類に区分されます
機能を一言で説明するのはなかなか難しいので、
tc electronicの商品説明から抜粋・要約してみましょう
|■G-Natural は世界初のアコースティック・ギタリストのための
| 本格派マルチエフェクト・プロセッサーです。
|■G-Natural の全てのエフェクトはアコースティック・ギター用にファインチューンされ
| コンプレッション/ EQ /ブースト/コーラス/ディチューン/ビブラート/トレモロ/
| フランジャー/リバーブ/ディレイと、多彩な高品位エフェクトが用意されています。
|■アコースティック・ギターの各種ピックアップやマイキング等、いずれにも対応できるように、
| ライン入力とマイク・プリアンプを両方装備しています。
| また、別途ミキサーを必要とせず、単体でピックアップとマイクの信号をミックスできます。
|■マイク・プリアンプは、ギターだけで無くヴォーカルでも使用でき、
| ヴォーカル・モードに切り替えれば、自動的にヴォーカル・ストリップEQ と
| コンプレッサーが使用できるようになります。
|■幅広い演奏スタイルとジャンルに対応した30 のファクトリー・プリセットを搭載。
| 自分だけのサウンドを追求したい場合には、自分で作成したプリセットを30 まで保存可能
|■これらに加えて、チューナー/デジタル入出力端子/エキスプレッション・ペダル入力/
| MIDI 端子も装備しています。
私なりに少し追記すると、G-naturalのエフェクト(10種)は、以下のように分類されます
①コンプレッション
②EQ
③ブースト
④コーラス/ディチューン/ビブラート/トレモロ/フランジャー(同時には1つのみ使用可)
⑤リバーブ
⑥ディレイ
このうち、①②はギター入力、マイク入力に独立して設定可能です
また、①③④⑤⑥は使用・非使用をフットスイッチで選択可能で、全てを同時使用も可能
②については設定内容が即時に反映されます(グローバル化することも可能)
小型のアコギ用マルチエフェクターであるzoom A3もギター入力、マイク入力を備えるなど
似たような機能を持ちますが、同時に使用可能なエフェクトは
2つ(アコースティック・リモデリング機能、ブーストを含めると4つ)までということで、
複雑なエフェクトを作りたい場合は、G-naturalの方が有利ですし
ほとんどのエフェクトをフットスイッチでオンオフできるので便利でもあります
まあ、相当の値段差があるので、当たり前と言えば当たり前ですが(笑)
なぜ今、私の手元へ?
DEPAPEPEさんや、ELTの伊藤一郎さんなど多くのギタリストが使用してるということで
かなり興味があったのは確かなのですが、なにさまお高い機材でして、
定価は税抜き12万円、生産完了前の実売価格でも税込み6万円強となると、
おいそれとは買えませんので、ずっと見送り続けておりました
そのうちに、興味がマルチでは無く各種ペダルを組合せたエフェクトボードに遷ったこともあり
すっかりノーマーク状態になっていたのでしたが・・・
先日、時々お邪魔させていただいてる「
アコギマニアのブログ」様で
このG-naturaの紹介記事を拝見!これを読んで、また一気に興味が再燃です
加えてタイミングを合わせるかのように、ヤフオクのサンデーくじで「20%還元」が当選したこと
そして、たまたまそこそこリーズナブルなお値段の中古品が出品されていたこと
そんなこんな状況が重なり、ついポチってしまったと言うわけであります(笑)
ちなみに、落札価格は2万3千円・・
商品説明にはあまり詳しく状態の表記がされていませんでしたし
付属品の有無も書かれてなかったので、ちょっと勇気が必要でしたが
到着してみると、割と美品!、しかもちゃんと箱付き、付属品付きということで安心しました
使いやすいの?
なにさま、取扱説明書が・・・(笑)
わかりにくいというか、最小限のことしか書かれていないので、
これって、多分初めてマルチエフェクターを使う人にとってはハードル高いだろうなと思います
私の場合は同じTC系列のTC HELICON製ボーカルエフェクターを使っており
その慣れ親しんだ操作感と似た部分が多く、それほど苦労なく使えています
現在到着からまだ2日ですが、ほとんどの操作はもう大丈夫です
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ しか~し・・・ ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ある程度の操作がわかって、改めて本機を見ると、むしろ良くできた操作系だと感心します
パラメーターのエディットも、その保存&呼び出しも、そして演奏時の取扱も
良く考えられていて使いやすいと感じます
あえて言えばバンクの切替に少々難はありますが、
1バンクに3種類のプリセットエフェクトを設定できるので、
ライブ中にバンクを変えるということは、それほど無いと思えますし、さらに操作に慣れてくれば、
プリセットに頼らなくてもフットスイッチの操作だけでかなりのことが可能です
もちろん百点満点ということはありませんが、
マルチエフェクターとしては、使いやすい部類にはいると思います
ただ、TCの操作系になれていないと「取っつきの良いマシン」という言うわけでは無いですから
最初の段階であきらめてしまわないように頑張ってみてください
音作り
【1.音量調整】
まず大事になるのは音量設定です
初期状態で「爆音!」なんて事は無いはずですが、
逆に「音が小さい~」「出てない~」なんてことが無いように
まずはINST(ギターの入力端子)のゲイン設定を適切に行いましょう
なお、ちまたではG-naturalのノイズがひどいという評価がありますが、
これは「
製品出荷時の出力レンジ(Output RNG)が20dBuとなっている」ことが原因で
その値を下げることで回避可能という情報があります
しかし、初期値のままでも特に私の個体ではノイズは気になりません
ただ、ややこしいことにこの
「Output RNG」※については取扱説明書に記載が無いので
万一ノイズにお悩みの場合は「Levelメニュー」にこの設定がありますので
お試しください
※1 Output RNGについて
そもそもこのOutput RNGが何を意味するのかが良く分からないw
マスターボリューム的な値ならRNGではなくOutput Levelで良さそうなものだし
そういう意味のパラメーターは「Volume」として別に存在する・・・
どなたか詳しい方がおいでましたら教えてください(^_^;)
※2 ノイズ回避のための出力レンジ(Output RNG)調整について
上記のとおり、一般的な使用においては、デフォルトの20dBuで問題ありませんが
コンプをオンにするとかなりホワイトノイズが耳につくようになります
コンプを多用する場合は、Output RNGを8dBu程度まで下げ
その分、INST GAINを元の音量程度に上げてやればノイズはやや軽減します
【2.音色調整】
次に基本的な音色をEQで整えます
エフェクトを全てオフにして音色を確認しながら、設定します
この作業は
G-naturalを気に入るかどうかの分かれ道になると言っても良いくらい重要です
G-naturalのEQは3バンドのパラメトリックイコライザーとなっています
つまり、「周波数と増減値」の組み合わせを3種類設定可能と言うことです
G-naturalにはローカットフィルターの設定が無いので、欲を言えば4バンド欲しいのですが
まあ、そこは我慢するしか・・(笑)、どうしてもローカットしたい場合は
3バンドのうち1つを80Hz前後にしてガッツリ削るしかなさそうです
----EQ設定上の留意点----
EQボタンを押して設定に入りますが、このとき画面右側に「M」と表示されています
これは「マイク入力のEQ設定中」と言うことを示しますが
通常、ギター入力はINST端子に行いますので、このままではギターのEQ設定ができません
EQボタンを長押して画面右に「I」と表示させてください
(そこそこ慣れても忘れがちなので要注意w)
------私のEQ設定------
こんな感じでわりと上ずった設定(笑)にしています
ギターはMORRIS SS-101Ⅲ、ピックアップはアンセムSLです
メリハリと空気感のための高域重視セッティングですが、
ギター&PUが変われば、当然設定も変わってくると思います
-----ここで、便利機能-----
G-naturalの左上に配置された1~4のバリエーションボタン
これに、気に入ったEQ設定を保存することが可能で、
保存した設定値はボタンを押すだけでいつでも呼び出すことができます
つなぐギターが変わったときや、異なる音色で演奏したいときなどは超便利です
ちなみにこのバリエーションボタンはEQだけではなく、
全てのエフェクトに関して個別に機能します
つまり、コンプに関してもリバーブに関してもモジュレーション、ディレイに関しても
すべて4つまでのお気に入り設定をバリエーションボタンに保存可能と言うことで・・・
いやいや、これは素晴らしい
・・・が、どのボタンに何を登録したのかすぐに忘れてしまう(笑)
【3.エフェクト調整】
これはもうお好みでどうぞ~って感じなんですが、やはり、マルチの宿命と言いますか、
リバーブやディレイなど個々のエフェクトで使用可能なバリエーションは、
高性能な専用ペダルに比べると少なく、やや物足りなさを感じます
-----リバーブ-----
ややあっさり系で、残響のステレオ感(広がり)も控えめです
しかしHallなどはそれが幸いしてかあまり「くどい」感じがせず、逆に使いやすいかもです
あっさり感も、COLORパラメーターをwoolなど柔らか系にしてやると
そっち系が好きな方には良いかもしれませんね
一つ気になるのは、残響の消え際が少し唐突かなと感じることでしょうか
最初は少し不自然に感じましたが
これも、慣れてみれば「長い残響でも、もつれなくていいかな」って(笑)
大事なのは人間側の順応能力かもですね~
あと一つ言えることは、
MIXをかなり上げても音像があまりぼやけないこと
確かに残響感の増加は確認できるのですが、それでも音の輪郭がぼやけることが少ないです
これはPLATEでもHALLでも共通していて、自分としては好ましいと感じています
-----コンプ-----
コンプには、各パラメーターを自由に設定する「スタジオモード」と
ある程度自動化された「ストンプモード」があります
ただ、このコンプに関してもEQでお話ししたと同じ、INST用、マイク用の2種類が存在するので
画面右側にある表示「M」「I」を注意深く確認してから設定してください
スタジオモードでは一般的なコンプパラメーターが一通り用意されています
ストンプモードではDRIVE、RESPの2パラメーターで適当なメイクアップゲインが施されますが
うちの個体にはLEVELという取扱説明書には無いパラメーターがあります(笑)
(ファームウェアのバージョンによって異なる可能性あり)
ただ、
コンプをオンにすると結構ホワイトノイズが耳につくようになります
この場合は上記の「1.音量調整」の記事を参考に対処してみてください
加えて、
パラメーター「LEVEL」を下げることも有効です
私の感覚で「LEVEL」といえばメイクアップゲインをイメージしてしまい
当然「+側」に補正するという操作をしてしまいますが、それだと爆音状態に(笑)
このあたりの詳しい説明が取説に無いのは残念ですが
なぜか「-側」に補正するのが音量にとってもノイズにとっても平和な調整wのようです
コンプを上手く調整できれば張りのある出音が期待できます
-----ディレイ-----
これはもう、つつきまくって体得するしか無いですね~~w
どのモードでも基本的にははっきり山びこが返ってくるので、
山びこディレイが苦手な人にはむかないかもしれませんが、
そんな場合は、SUBDIVノボタンを何回か押してみてください
このボタンは、ディレイ・エフェクトのみに関係し、
タップしたテンポに対して、どの拍でディレイを鳴らすかを指定するものです
私も理屈は良く分からないですが(笑)
ディレイで設定したディレイタイム値との関連でSUBDIVを変えていくと
どこかのポイントで、山びこが軽減または消える場合があります
これはちょっと~
優秀なG-naturalですが、「なんだかな~ポイント」もなくはない(笑)
【1.電源ボタンどこよ】
ないんですなあ、電源ボタン(^_^;)
電源コードを電源につなげば起動します・・ということは、電源オフもコード引っこ抜きw
同社のエレキ用マルチG-systemも同じ仕様で、
ステージで不用意に足で触れたりして電源が落ちてしまうことを避けるためだそうですが
古い人間としてはw、コード引っこ抜きで電源を落とすのはどうも気が引ける
まあ、スイッチ付きのテーブルタップなどを使うことで心の平穏を保ってますけど(笑)
【2.出荷時に戻しても消えないユーザーバンク】
気に入った設定を保存できるユーザーバンクですが
G-naturalを初期化してもキエマセン
まあ、オオゴトでは無いんですが、なんとなく釈然としない
【3.パッシブPUには非対応ですか~】
取説にはINST端子に接続できるのは、以下のように記載されています
・ギター・ペダルまたはプリアンプ
・アクティブ・ピックアップ(バッテリ-内蔵のギター)
・プリアンプ内蔵のアコースティック・ギター
・ キーボード
要するにみなローインピーダンスな機材なわけ、
そして取説の最終ページには、アナログ入力のインピーダンスについて
「
バランス21/アンバランス13 kOhm」と書かれておる
パッシブPU(電池を使わないピックアップ)の場合は1MOhmとかの場合もあるので
「ハイ出しロー受け」というインピーダンスの不整合により
音やせなどの不具合が起きる可能性があります
でもなあ、なんでインピの切替スイッチとか付けなかったかなあw
もし音痩せするようなら、ギターからG-naturalの途中にDIとかかますんかなあ・・・
いやまて~~!
そういえばBOSSのワイヤレスシステムWL-20とかだと、インピーダンスは
・入力:1MOhm ・出力:1KOhm
だよなあ・・・、
なるほど、ワイヤレスシステムを使って回避する手もあるか(笑)
※この件については、次回の記事で簡単な検証を行いますのでお楽しみに!
【4.USBインターフェイスが無い】
8年前でもUSBって存在しましたよね~w
オーディオインターフェイス機能とかは不要なんですが
せめて、ファームウェアの更新くらいはUSBでやりたい
私の個体は幸いにも最新バージョンの1.04が入っていたので事なきを得ましたが
MIDI経由のファームアップというのはなにかと面倒くさいですね
出音サンプル
エフェクターの音、といってもギターやPU、エフェクターの設定次第で千変万化ですから
サンプル音源にどの程度価値があるかはわかりませんが、もしご参考になれば幸いです
個人的には悪くない音だと思います
大きくて重いエフェクトボードの代わりにG-natural1台という選択もありではないでしょうか
・ギターはMORRIS SS-101Ⅲ、ピックアップはアンセムSL
・EQ設定は上記の写真のとおり
・岸部眞明さん「花」の前半部分のみ弾いてます
・エフェクトはリバーブのみ、Hallをかなりガッツリ目にかけています
リバーブのCOLORはEQ設定が高域寄りなのを考慮して「wool」を使用しています
まとめ
アコギのプリアンプ&エフェクターとしてはオールインワンで良くまとまっています
慣れれば操作もしやすく音作りも容易です
(ただし、G-naturalと初対面の時のハードルは低くないのでそこであきらめないようにw)
記事中にも書きましたがこの機材を受け入れられるかどうかは、
音作りの入口「EQ調整」にあると感じます
この段階の調整で気に入った音になるかどうかが、大きな鍵となりそうです
もちろん、このことはG-naturalに限った話では無いのですが
3バンドのパラEQを駆使して希望する音質にするのはかなりの経験を要しますし
かといってせっかくオールインワン機として購入したのに、別途EQを用意するのも何だかなって
思う次第・・・・
エフェクトに関してはまだ手にして3日間程度ではあまり多く語れないのですが
ソロギの場合だと、リバーブとコンプを中心に操作と音を煮詰めていくのが良いと思います