アコギをマイク録音したいんだけど・・・どんなマイクを選べば良いの?
その疑問にある程度答えられればと思ってはいますが
残念ながら完璧な答えというのは存在しません
用途、音の好み、録音機材環境も大きな要素ですし
見た目やメーカーへのこだわりという部分もあるでしょう
このブログではマイクに限りませんが、
情報提供によって商品選択の助けになればというのを基本スタンスとしていますので
今回の記事もそのようにお受け取りいただければと思います
前々回まで3回連続でお届けした、マイク紹介記事のまとめ的な内容でもあります
・コンデンサーマイク AKG C414 XLS
・コンデンサーマイク AKG C451B
・コンデンサーマイク LEWITT LCT 441 FLEX
ちゃんとしたマイクが絶対必要?
そんなことはありません(笑)
世の中にはハンディレコーダーといったものもありますし
ハンディレコーダー(ZOOM H4n)
最近ではスマホのマイク品質も随分向上しています
録音でなくてもツイキャスなどの配信で
スマホ配信のアコギがやけに「良い音!」って思われたことはないでしょうか
※特にiPhone(笑)
スマホを使った録音では200~300Hzから下がバッサリカットされてるのですが
これが妙に生音っぽく聞こえるわけです
そういった音が好きであれば「ちゃんとしたマイク」を使う必要はありません
逆に豊かで迫力のあるアコギの音を録音しようとすれば
やっぱりマイクと録音機材が必要になります
ダイナミックかコンデンサーか?
ダイナミックマイクとコンデンサーマイクを以下に簡単に比較してみました
一見するとコンデンサーマイクの方がデメリットだらけに見えますが
そんなデメリットをなんとかしてでも使いたくなる音質がコンデンサーマイクにはあります
もちろん、コンデンサーマイクといってもピンキリですが
少なくとも、これまで試した20本以上のコンデンサーマイクで「心底ガッカリ」はありません
録音におけるコンデンサーマイクの優位性はやはり
「ある」と私は思います
【ダイナミックマイク】
□ 環境ノイズなどを拾いにくいので目的の音だけをとらえやすい
□ 頑丈である程度荒っぽい使用にも耐える、また湿度管理などあまり気にしなくてもよい
□ 駆動のための電源を要しない
■ コンデンサーマイクに比べれば低感度で細かなニュアンスまでは拾いにくい
【コンデンサーマイク】
□ 高感度かつ広い周波数域に対応するので、高音質録音が可能
■ 駆動のための電源(ファンタム電源)が必要
■ 衝撃や湿気に弱い
■ 高感度ゆえ環境ノイズを拾いやすい
多くの音楽シーンで、ステージ上で多く見かけるのはダイナミックマイク
録音スタジオで多く見かけるのはコンデンサーマイクというのは、
皆さんもお感じになってることと思いますが、要は
「そ~いうこと」ってワケです
ダイヤフラムは小口径か大口径か?
結論から言えば、アコギ録音では「小口径(スモールダイヤフラム)」が使いやすいです
コンデンサーマイクには、スモールダイヤフラム ラージダイヤフラムの2種類がありますが
※他にバックエレクトレット方式というのもあるけど・・・
これはマイクの集音装置であるダイアフラムの口径による呼称の違いです
ただ、そのしきい値がはっきりしてるわけでもなさそうで、
概ね直径1インチ前後をラージダイアフラム、
それより小さいものをひっくるめてスモールダイヤフラムといってますが、
そんなことより、見た目の方がわかりやすいです
・スモールダイヤフラム:ダイナミックマイクのようなハンドヘルド型やペンシル型
・ラージダイヤフラム:サイドアドレス型と呼ばれる形状、多くはショックマウントを伴う
ラージダイヤフラムは、感度が高く、中低域が豊かという特徴がありますので
取り扱いが適切であればスモールダイヤフラムより高音質で録音できる可能性はあるのですが
セッティングや録音後の処理などにかなりの経験と技術が必要です
それに比べてスモールダイヤフラムは引き締まった輪郭のはっきりした音にしやすいです
また、なんといっても口径が小さいだけに
音の立ち上がりに優れ、アタックが明瞭という特徴があるのも見逃せない点です
もちろん、1本でアコギもボーカルもピアノも金物も等々とオールマイティに使いたい場合は
ラージダイヤフラムの優位性はありますが
アコギに限れば、やはりスモールダイヤフラムが無難な選択です
とはいえ、スモールではボーカルは無理ってワケでもありません
そのあたりは知恵と工夫の世界でもありますし
スモール1本でいろんな音源に対応するための試行錯誤は、
マイキングや音声処理のよい練習となるはずです
良い音のためには高いマイクが必要か?
上で書いていることを簡単に言ってしまえば
「アコギ録音ではスモールダイヤフラムコンデンサーマイクが使いやすい」
ということになりますが、では価格的にどのランクのマイクが必要なのでしょう
例えばペンシル型のコンデンサーマイクは、数千円から数十万円まで幅広く存在します
確かに高価なマイクは優秀なのでしょうけど
※ といっても私、数十万クラスの音はしりませんが(笑) 、
現実には数千円でも使えないレベルではありませんし、
高価なマイクとの差もそれほど大きくありません(多少危険な書き方ですがw)
むしろ、高価なマイクの場合それなりのマイクプリアンプ、レコーダー、録音環境などがなければ
真価を発揮しない(価格相応の性能を発揮できない)可能性もあります
「価格が高い=良いマイク」は、言えなくもないですが、
その価値を引き出すには相応の設備とウデ(知識や経験)が必要ということですね
例えば、以下のサンプル音源のうち、スモールダイヤフラムの3本
・AKG C451B:SH価格27280円
・RODE NT3:SH価格31900円
・BEHRINGER C-2:SH価格6358円(2本セットなので、3179円/本)
を比較しても、価格的には激安のBEHRINGERが決定的に劣るとは私には思えません
※ C-2は2本使いでなく、1本のみのモノラル録音としています
これからスモールダイヤフラムの導入をされる場合は
まず安価なものを購入し、使用する中で何か不満を感じたら、
・マイキングや音声処理による対処を工夫する
・「良い音」に対するイメージを可能な限りはっきりさせる
といったステップを踏まえて、より上位のマイク購入を検討されても良いと思います
ファンタム電源の確保は?
コンデンサーマイクの欠点の一つに「ファンタム電源を要する」ということがあります
一般にファンタム電源を供給可能な機材としては、以下のように意外に多いものです
・MTR(マルチトラックレコーダー)
・ハンディレコーダー
・オーディオインターフェイス
・ミキサー
・マイクプリアンプ
・専用のファンタム電源 等々(ただしファンタム供給可と明記されたもの)
なので、お気づきでなくとも、そもそも録音のためのマイクを求めてるわけですから
すでにそういったファンタム供給可能な機材をお持ちの可能性も高いと思われます
今一度、お手持ち機材のファンタム電源供給機能の有無を確認してみてください
それでも、やっぱり無かったときは
手持ち機材とのバランスを考えながら・・・・お買い求めください(笑)
録音のための最小機材構成
これも、録音の目的次第と言えばそれまでなんですが、あえてあげるとすれば
【パソコン(スマホ)利用可の場合】
・マイク+オーディオインターフェイス(ファンタム可)でPC(スマホ)録音
【パソコン(スマホ)が利用できない場合】
・マイク+ハンディレコーダー(ファンタム可)で録音
でしょうか、ただ後者であってもデジタル音声を活用する場合はどのみちPC必須でしょうから
前者が一般的と考えても良さそうです
ちなみに、PC録音用のソフトは、OS付属の音声アプリからcubaseのようなDAWまで様々です
フリーソフトではAudacityが有名で十分使えますが
使用するオーディオインターフェイスが4ch以上の多チャンネル仕様だと、
マイクを3ch以上のチャンネルに接続する場合はDAWソフトが必要になる場合が多い
ということに留意が必要です
※Audacityのような2ch専用のアプリは使えないことがある
最近はオーディオインターフェイスにcubase等のDAWが付属することが多いですが
こんな、フリーのDAWアプリもありますので、参考になればと思います
インストール方法などは、ネット上に色々情報があります
私もUAC-8(オーディオインターフェイス)でマイク録音の場合は使ってます
サンプル音源のまとめ
これまでの3回の記事で用いたサンプル音源を以下にまとめてみました
(BEHRINGER C-2は今回の記事で追加)
【ラージダイヤフラム】
【スモールダイヤフラム】