国内での発売からどれくらいだろう・・5年は経ったでしょうか
やや今更感な「THALIA CAPO」のお話でございます
久しぶりの長編となっていますのでお時間があるときにでもゆっくりお読みください
発売当初から「その筋w」では結構話題になっていたのですが・・・なぜか・・・
購入意欲がわかなかった、そのわけ
まあ、1万円超という価格も一因ではあったのですが、商品写真を見た第一印象は
「なんて幅広なんだ!」そして、それは私の望むカポの形ではありませんでした
もちろんそれは
大いなる誤解であったわけですが、まあ以下をお読みください(笑)
当時も今も変わらない私の考えに、「カポダストは弦に接する幅が狭いほど良い」というのがあります
これは音の良し悪しというよりも、主に2つの理由があります
・幅広カポのほうが音程♯の度合いが強い
・カポ装着したままのチューニングで抵抗が大きい
【でもそれは、誤解だった】実際に手に取ってみればすぐに分かったことですが、弦を抑える「フレットパッド」と呼ばれる部分は「角の丸い逆三角形」であり、けっして幅広カポではないわけです
発売当初は美麗な装飾や指板Rへの対応のほうが話題で、フレットパッドの形状まで私の注意が及んでなかったのが誤解の原因でした
さて、THALIA CAPOとは
ネット上では豊富に情報があるのでここで書くまでもないのですが、イシバシ楽器様のHPから引用してみると以下のようになります
参照元:https://www.ishibashi.co.jp/ec/product/4525421218408
従来のCapoの概念を覆し、全く新しいCapoの価値を見いだしたThalia Capo
テイラー・スウィフトに憧れた愛娘Thalia(タリア)の為に、クリス氏が70以上ものプロトタイプを製作し、試行錯誤の上 満を持して完成したThalia Capo。
まず、目を引くのは、エキゾチック・ウッド、エキゾチック・シェル、彫刻、カラーフィニッシュなど様々なバリエーションのインレイ・オプション。
機能性のみを求められたCapoの概念を覆し"豪華にギターを装飾"する存在となっております。
また、最も適切な圧力でCapoを取り付けられるよう、すべての製品のスプリングの圧力が7.5kg前後に設定されており、1つ1つ徹底した品質管理のもとくみ上げられております。
楽器演奏を楽しまれる全ての方に是非感じていただきたい高品質のカポタストです。
・出荷時には、12"サイズ ラバー素材のフレットパッドが2種が付属しています。
12"スタンダード・テンションのパッドは本体に装着されております。
・0" for Classicals, 7.25", 9.5", 10", 15", 16"の各スタンダード・テンション &
ハイ・テンション セット 計12種は別売です。
【簡単に特徴をまとめると】 ・インレイオプションによる装飾性
・フレットパッド交換による各種指板Rへの対応
・レバーを閉める=解放、というリバースアクションによる機能性
・重量からくる独特な音
・お高いのでちょっぴり所有欲を満足・・(笑)
インレイオプションによる装飾性
単純に「きれい~!」ってことですが、カポの選定基準において「音が良いか?」などよりよほどわかりやすい要素であります
THALIA CAPOSの場合、インレイバリエーション、金属部のメッキバリエーションの2つが装飾の決め手となります
現行バージョンでは以下の組み合わせから選択する形となっていますが、インレイ×メッキで百数十種類が存在すると思われます(詳しくは
三木楽器さんのHP参照)
・インレイバリエーション:貝や木材等を使った様々な種類があるが、正直数えきれない
スタンダードな貝、木材モデルに加えて、メーカーコラボ
モデルやちょっとプレミアなモデルなど50種類近くの
バリエーションが存在する
・メッキバリエーション:ブラッククローム、クローム、24K ゴールド、
ブラッシュドブラック(艶消し黒)の4種(ただし
艶消し黒はあまり見かけない)
また全インレイバリエーションに対して4種類のメッキ
バリエーションが用意されているかについては不明
発売のころにはインレイの面がすべてスワロフスキーというすんごいの(3万円弱)もありましたが、今は販売されていないようです
私のコレクションから「RED ANGEL WING」
指板Rへの対応
ギターの指板(クラッシックギターは除く)はまったいらではなく、3,4弦の位置がやや高く、1,6弦ではやや低いという曲面になっているのはご存じでしょうか
この局面の半径を「指板R」と呼んでおり、メーカーやギターの種類によりさまざまですが、この指板RとカポのRがあってないと何が起こるのでしょうか
カポの装着角度により傾向が異なりますが、下図のように指板RよりRの小さなカポを使うと3,4弦あたりで弦を抑える力が弱くなり、逆にRの大きすぎるカポを使うと1,6弦あたりで押さえる力が弱くなります
このように、指板RとカポのRが整合していないと、1~6弦を抑える力に不均衡を生じるわけですが、それによりカポを装着することに伴う音の上がり方の程度に差が生じ、よくいわれる「カポつけるとチューニングが狂った」なんてことが起こったりするわけです
もちろん、カポを付けると弦の張力が増加して音は高くなる方に狂います
しかし、1~6弦が一様に高くなるか、バラバラな上がり方をするかは指板RとカポRの整合性によるところが大きく、あっていないカポを使ったとき多くの方は「チューニングが狂った」と感じるのではないでしょうか
基本的にはカポを付けたらチューニングをしなおすのがセオリーです
しかし、ソロでのギターの弾き語りのように他の楽器との音程のずれが気にならない場合「1~6弦が一様に高くなる」のであれば、再度チューニングをしなくてもそれほど違和感なく演奏可能かもしれません
THALIA CAPOSのRフィットシステムは、こんな感じで1~6弦が一様に高くなることを目指したものと私は考えています(決してカポを付けても音程が#しないカポ、というわけではありません)
【THALIA CAPOSの指板R対応】 ■旧パッケージ
0",7.25",9.5",10",12",15",16"各スタンダード・テンション&ハイ・テンションセット
計14種が標準で付属し、それらを適切に付け替えることで指板Rに対応
■現行パッケージ
12"スタンダード・テンション&ハイ・テンションが標準で付属
0",7.25",9.5",10",15",16"各スタンダード・テンション&ハイ・テンションセット
計12種は別売だが、それらを適切に付け替えることで指板Rに対応
※12種まとめて購入、Rごとに購入、どちらも可能
【自分のギターの指板Rを知る】なかなか難しい話ではありますが、三木楽器さんのHPに「
タリア・カポ メーカー / モデル別 フレットパッド対応表」というのがありますので、まずはこれを参考にしてみましょう
メーカー別、モデル別にギターの指板R(インチ)を知ることができます
また、指板Rを計測する道具というのも存在します
いろいろある中で一番お安いこれは、Amazonで600円!(刻まれている数値はインチ表示です)
「弦はずさないと測れないの?」と思うかもしれませんが、カポを付けて一番近いフレット金具上で計測しても問題ありません(そもそもカポは弦の上からつけるものなので)
ただ、
指板Rって数字上は異なっていても目視ではかなり微妙なものです
注)アスペクト比19:6のモニターで正しく表示できます
(例えば1920×1080)
どのゲージを当てても「みんなあってるように見える!」とは私の感想(笑)
根気よく顔を指板に押し当てるくらい真横から隙間の有無を確認するか・・・弦交換の時にでも弦を外して計測してみてださい
ただまあ、ゲージまで買ってそんな苦労をしなくても
三木楽器さんのHPを頼ってもよさそうに思いますけど・・ねw
【どうしても指板Rにあってなきゃダメ???】まず、上に書いた【THALIA CAPOSの指板R対応】のような、販売パッケージの変更がなぜ行われたのかについて少し推論(邪推?)してみましょう
旧パッケージ(発売当初のころ)では14種類のフレットパッドがすべて標準添付で当時の販売価格は税込11000円弱
一方、現在のパッケージ内には12インチのフレットパッドが、ノーマルとハイテンションの2種類付属するだけなのに販売価格は最も安価なモデルでも税込11800円
(残り12本のフレットパッドセットは約5000円で別売です)
さて、これをどう見るか(なぜこのようなパッケージ変更があったのか?)
■フレットパッド全種類を含めた値段で見れば、
11000円(旧パッケージ)→17000円(現行パッケージ+フレットパッド12本セット)
の大幅値上げになってしまったので、パッドのみ別売として買いやすくした?
■または、5年間の販売経験からフレットパッドの交換需要が少ないことが分かった?
交換がめんどくさいとか、不要なパッドまで付属しなくていいとか
1種類で概ねカバーできるとかの意見が寄せられた?
まあ、真実は知りようがありませんがなんとなく、後者が怪しく思える(笑)
実は私自身16インチといわれるMARTINに12インチパッドのタリアカポを装着しても弦がビビるということはありませんでした
のみならず・・・ほとんどフラットに近いGODIN MULTIAC NYLONでも12インチのタリアカポでビビりません、ん?どゆこと???
※装着位置によります、フレット金具に近い位置に装着するとビビりは概ね回避
しかし・・そうすると演奏の邪魔になりやすいというジレンマ(笑)
「どうしてもあってなきゃダメ?」に話を戻しますが、
ビビるかビビらないかの観点だけでいえば
12インチパッドのタリアカポでほとんどのギターに対応可で、仮にビビりが出る場合は12インチのハイテンション(これは付属)に付け替えればビビりは収まりそうです
カポ装着後にチューニングをする方も、そもそもチューニングしなおすのだから狂いは気になりなさそうで、ビビりさえしなければ
12インチ以外の需要はあまりないかも
そう考えると「どうしても指板Rにあってなきゃダメ!」なのでしょうか??
5000円もする交換パッドを買った身からすれば「ダメ!」って言いたいですがw、実用上は当初に付属する12インチのノーマルテンション、ハイテンションの2本で十分対応できそうに思います
指板RとカポRが整合することの有用性は上に書いた通りではありますが、12インチで何か具体的な不具合を感じたときにプレットパッドの交換を考えてもいいかなと、今のところ私は考えます
また、カポというのは基本的に消耗品ですから、パッドの損耗が目立つようになってから交換というのもありです
12種類全部買えば5000円と高額ですが、2種類(1つのRでスタンダード・テンション& ハイ・テンション セット)であれば900円くらいで購入可能です
【結局何が言いたい???】
もうぶっちゃけてしまいますが、理屈はどうあれギターの指板Rによってフレットパッドを付け替えるなんでめんどくさすぎる(あ゛~言っちゃったよこの人)
プロやハイアマってわけでない私ごとき、ビビらない限りはデフォルトの12インチ、または別売の15インチを入手する程度で十分かなと・・ここだけの話ですが(笑)
リバースアクションによる機能性
けっこう微妙なお話ですww
ある場面では使いにくく、ある場面では使いやすい、そんなカポです
【ギターに装着するとき=ちとつらい】そこそこの握力を要します
「娘さんのために作られたカポ」ということでしたけど、娘さんどんだけ怪力かよ!と思わずつぶやいてしまうほどにバネが強力です
ある程度コツをつかめば少し楽にはなりますが、握力計と握力鍛練用のハンドクリップをAmazonで探してしまいました(買いませんでしたがw)
高校時代には握力70kgを誇った私でもそうなので、女性にはちっとつらいかもしれません
コツというのは(私の考えですが)、写真のようにできるだけ「端っこ」をつまむことです
【ギターに装着した後、フレットを移動する=とても使いやすい】演奏中、曲中の転調などでフレット移動したい時があります
こんな時は、左手のポジションをほぼ変えずにフレット移動ができますし、握力もあまり要しません
写真のように、中指と母指球ではさむようにすると力もそれほどいらずにカポを緩められ、左手のポジションもほぼ変えることなく移動することができます
曲中での移動のしやすさに限れば、私はこれ以上にやりやすいカポを他に知りません
ただこれをするためにはカポは写真のように
「上から装着する」ことが条件となりますので、下からつける派の方はご注意ください
【ちょっと注意!】実はメーカーからの発表ではタリアカポは下から(1弦側から)装着するとされています
上記のカポ移動もその方がやりやすいのだそうですけど、いやいやそれはちょっとどうなの?(笑)
上下双方から試すとわかりますが、圧倒的に上から(6弦側から)つけたほうが移動はしやすいです
上から装着だと母指球を使えること、それがすべてです
重量からくる独特な音
前項の「機能性」よりもさらに微妙なこのお話
ネットにはいろいろと情報があるのでざっと拾ってみましょう
【島村楽器さん】
・おおっ!?と一緒にいたスタッフ宍戸くんと声が出てしまうほどはっきりとした音色。
他のカポと比べてみるとその音の質感の違いに驚きました。
【個人のブログや動画】
・音は全体的にすっきりします。
音に荒さもなく一音一音がくっきりして、各弦が聴き取りやすいです。
同時にサスティンと倍音も抑えられています。
・やや低音が強く、サスティーンは控えめ
・他に比べて自然で柔らかい音になる、特にフィンガーピッキングでよくわかる
表現は違いますが、皆さん概ね同様な評価をされてますので、音の傾向としてはそういう感じなのだと思います
なんとなくですが
「玄人好みの音」といえるのかもしれませんね
ただですね、私自身の耳は
とても高性能とは言えないので(^_^;)
カポを付け替えながら聴き比べてみれば、皆さんの評価にある程度うなずけるものの、そこまで明確な変化は聞き取れませんし、ブラインドだと絶対に当てる自信はありませんw
もともと、カポの良し悪し論争というのはずっと以前から存在し、装着時の音、見た目、使いやすさ、重量、耐久性などについていろいろと議論のあるところです
重量も軽いほうが良い、重いほうが良いとにぎやかですが、軽量の代表格「スタカポ(11~14g)に比べてタリアカポは96g・・・良し悪しはともかくとして音に違いがないわけない!とは私も思っております
ネックやヘッドを含めたギター全体の振動を邪魔しない軽量カポか、ある程度音をコントロールする重量カポか・・もう「好み」としか言えません(^_^;)
もちろんカポを選ぶ要素は「音」だけでもないのですが・・・
所有欲を満足??
あはは、もう笑うしかないのだけど、所有欲をくすぐるというか、すでに私はちょっとハマっております
やはり第1に「美しい」ということこれはインレイ自体の美しさもありますが、金属部分の作りもとても精緻であることも含めて、総合的に「美しい」と感じています
第2はシンプルに「重量感」私の中では絶対普遍の昭和的価値観「重たいものは良いものだ!」(笑)
すでに音とは関係なく、使い勝手とかも関係なく、ただただ手の中のずっしり感がわけもなく所有欲を満たします
最後にコレクターズアイテム足りうるバリエーションの豊富さもうね、こんなに種類があるんですよ、集めたくもなるってもんです
しかし全部買うといくらくらいになるんだろう・・・200万くらいは必要?
まあそれは無理とわかってますけど・・・
・クローム、黒クローム、金くらいのメッキバリエーションはそろえてみたい、
・少しくらいはインレイバリエーションも持ってみたい
・旧パッケージも現行パッケージもほしい
・フレットパッドも全種類ほしいかも
はいはい、もう必要性などは関係ない!それが「コレクター魂」ってものなのだ~
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しかしね、そうはいってもね・・お財布へのダメージは甚大!!
今以上の増殖とならないことを切に願いつつ、この記事を終えましょう
一つ嫌~な(大事な)ことを思い出した、ような気がする
ダンシャリ・・ナンノコトデスカ
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■蛇足ですけど旧パッケージを購入されて、替えのパッドをたくさんお持ちの方
旧パッケージのパッドも新パッケージで使用可能ですのでご安心を!!
■2024.12.13追記「コレクションが数十に及んだころ旧パッケージどころか、旧々パッケージやプロトタイプまで存在すると判明して途方に暮れる」
という夢を見た・・コレクターあるある(笑)
目が覚めて心底ホッとした