2025年1月31日金曜日

PDトリガーケーブル

先日のこと、ブログの読者様から頂いたコメントの中に「PDトリガーケーブル」という初見ワードがありました・・いや全く青天の霹靂でありますよ(笑)
Amazonで探してみると、概ね千円前後と結構お安く手に入ることが分かったので、注文してみました

PDトリガーケーブルとは


今どきの皆様ですので、スマホやノートPCなどの急速充電規格に「PD(POWER DELIVERY)」とか「QC(QUICK CHARGE)」といったものがあることはご存じのことと思います
両者で多少の相違はありますが、ものすごく簡単に言えば「給電側と受電側の会話に基づいて5v以上の電圧で高速充電する」というものになります
 ・受電側:「バッテリーだいぶ減ってるので9v、2Aで送ってよ」
 ・給電側:「りょうか~い」
 ・受電側:「そろそろ満タン近いから9v、0.4Aくらいに落として」
 ・給電側:「りょうか~い」
みたいなやり取りに基づいて無理のない高速充電を行う規格であります

PDトリガーケーブルとは、ケーブルが受電側に「なりすまして」給電側にリクエストを送ることで、
本来5v出力であるUSB-C端子から、
9vや12vという高い電圧を搾り取るという商品
(UCB-CがPDに対応している場合に限る)

で、ほとんどの機材が9vで稼働するギターエフェクターなどとはとても相性が良いと言えます


活躍しそうなシーンとしては、ライブ現場でエフェクターボードの電源供給をモバイルバッテリーで行う等でしょうか
AC電源ではノイズ発生のリスクがありますが、モバイルバッテリーのDC電源であればその心配は最小限で済みます

種類も豊富


今回私が購入したのは電圧可変タイプですが、それ以外にも様々なPDトリガーケーブルが存在します
 ・9v固定タイプ
 ・12v固定タイプ
 ・15v固定タイプ
 ・20v固定タイプ
 ・電圧可変タイプ
また、それらに加えて
 ・極性がセンタープラスやセンターマイナスのもの
 ・さらにはDCプラグの形状が5.5*2.5、5.5*2.1、5.5*2.5(2.1共用) 等々
と意外に種類が多いので、選択には少し注意が必要です

ギターエフェクター単体への電源供給であれば
 ・9v、センターマイナス、5.5*2.1プラグ
が基本となりますが、完全一致しなくても
 ・極性が異なる→上の写真のように極性変換コードを使用する
 ・プラグが異なる→変換プラグを使用する
という風に購入後の対応も可能な場合があります
ただ電圧に関しては固定タイプを選ぶとそれ以外の電圧は得られないので、必要な電圧に関しては購入前によく考えて決めておく必要があります

電圧可変タイプ(今回購入品)


5v、9v、12v、15v、20vの5種類の電圧を切り替えることができます
これを選択したのは、所有エフェクターに12vを要するものがあったことや一部のパワーサプライで12vが必要なものがあったためです
用途としては室内でエフェクターのテストを行う程度のものでしたので、電源としてはモバイルバッテリーではなくコンセントにさして使用するUSB充電器を対象としています

【極性】
購入品をテスターで確認したところ「センタープラス」でした
極性変換ケーブルは「たくさんw」持ってるのでセンターマイナスへの変換は問題ないのですが、Amazonで見る限り、商品説明に極性が明記されているものが意外に少ないのは気になります
手元に届かないとはっきりしない場合も、届いても記載がないなどもあるので、エフェクターの故障を招かないためにも、極性不明のまま使用することは絶対に避けてください

【電圧】
「これで9vも12vも15vもどんとこい!」って思ったのですが・・・
給電側のパワーによっては取り出せない電圧があるのです
以下、テスト状況動画です


PD65wでの動作状況

PD20wでの動作状況

動画のように、PD20wでは15v以上の電圧は取り出せないことがわかります
ただ、どちらの動画でもPDトリガーケーブルで設定した電圧に対してUSB充電器からはほぼ正確に設定どおりの電圧が取り出せていることも確認できます
 ※設定電圧はPDトリガーケーブルのボタンを押すたびに変わる

手持ちのUSB充電器を使って実験したところ以下のことがわかりましたが、これはUSB-Cポートを一つのみ使用した場合ですので、同時に複数ポートを使用(例えばスマホ充電ながら等)した場合にはこの限りではありません


「なるほど、そういうものなのか・・」とある程度は納得したのですが、さらにネットを調べてみるとMarubun様のHP、
に「USB PD規格、Power Rule」という項目があり、そこでは給電側のワット数によって、出力しなければいけない電圧・電流が決まっているとあります
あくまでPD規格上の「義務」を示しているのであって、それ以外の電圧・電流を出力してはいけないということではありませんが、なんとなく理解の一助にはなりそうです

【負荷耐性】
あまり高負荷なエフェクターは持ち合わせないのですがwこんな実験をしてみました
 ・PD20wのUSB充電器
     ↓
 ・PDトリガーケーブル(12v設定)+極性変換ケーブル
     ↓
 ・Vital Audio/POWER CARRIER VA-08 MKII(パワーサプライ)
     ↓
 ・STRYMON TIMELINE:必要電流300mA以上
 ・STRYMON BLUESKY v2:必要電流300mA以上
 ・BOSS EQ-200:必要電流170mA 合計770mA以上

結果的にはすべてのエフェクターが正常稼働し、ノイズもない出音状況でした
なおこの時の出力電流は、写真のとおり0.864Aです、ここでは確認のしようがありませんが、20wでも12v、1~1.5A程度までは大丈夫と考えてよいのではないでしょうか


今回はパワーサプライ経由での実験で、分配ケーブルや分岐ケーブルでの使用については確認できておりません
おそらく大丈夫では?とは思いますが・・・どうなんでしょうか

まとめ


いやはや、便利な時代になったものだと喜ぶやらあきれるやら(笑)

実はこれまでUSBで12vや9vを得るためには、USB5v→DC9v(12v)昇圧ケーブルというものを使っておりました
しかし、昇圧コンバーターを使っているため、場合によっては盛大なノイズを見舞われるといったこともあり、(恐怖から)次第に使用しなくなったという経緯があります
トリガーケーブルは(今のところですが)その心配もなく、「便利な時代」を実感できております


昇圧ケーブル


さて、PDトリガーケーブルいかがでしたでしょうか
実はもう一つの高速充電規格「QC」についてもQCトリガーケーブルが存在します
私の興味はもうPDトリガーケーブルで満たされたので、レポートする機会はもうないと思いますが、ご興味があれば探してみてください

最後になりましたが、PDトリガーケーブルについて情報提供いただいたBe-m.Rさんに深く深く感謝申し上げます!


2 件のコメント:

Be-m.R さんのコメント...

いえいえ、感謝だなんて恐れ入ります。 こんなえーもん独り占めはアカンでしょ?(笑)

zizi さんのコメント...

Be-m.R さん

ほんとにそうですよね!!
多くのエフェクターボードが壁コンセントから解放されることと思います
僕もペダルのテストのたびにパワーサプライを探さずに済みます(笑)