2018年6月30日土曜日

ソロギターにコンプレッサーは不要か?

ソロギに必要なエフェクターと言えば、まずはリバーブがあげられます
自分もそこにターゲットを絞って、ここ数年試行錯誤を繰り返してきました
しかし、最近ではコンプレッサーの役割も小さくないのでは?と考えるようになってきました

【関連記事】

  ①ソロギターにコンプレッサーは不要か? ←本記事
  ②ソロギターで使えそうなコンプレッサー(所有機編①)
  ③ソロギターで使えそうなコンプレッサー(所有機編②)
  ④ソロギターで使えそうなコンプレッサー(興味◎編)



コンプレッサーの必要性

皆さんは、アコギの出音にリバーブをかけたときに

「残響は気持ちよいけど、ギターの音がなんか遠くなったみたい」

と感じられたことは無いでしょうか?
このような感覚は、リバーブの種類がROOMからHALLへと空間規模が大きくなるほど顕著です
それは、リバーブの仕組み上、仕方の無いことでもあります
しかし、リバーブ大好きな私でも、原音が遠く細くなるのを嫌って
HALL→PLATE→ROOMへとどんどん空間規模の小さいリバーブに遷っていった・・
というのがこれまでの道程であります

ですが、もっと音を前に押し出したいという欲求はなかなか収まりません(笑)
そんなとき、思い出したのがLINE6のPOD HD500xというフロアエフェクターです
私の尊敬する地元のソロギタープレーや「コウさん」が使用していて自分も購入したのですが
この機械は内部でいくつものエフェクターを数珠つなぎにして音を作ることが可能です
これを使って音作りを試行錯誤していたときに
「コンプレッサーを入れると一気に音が前に出るなあ」
というのに気付いておりました
思い出したのはそのときの経験です
残念ながらHD500xは現在機材倉庫ですやすやとお休み中ですが
今使ってる機材にコンプレッサーを追加すれば同じ効果が得られるかもと考えた次第です

そんなわけで・・・
コンプレッサーの必要性その1は、「音圧を上げることで音を前に押し出す」 
ということであり、これが今回のコンプ導入の最も大きな目的でもあります

必要性その2は「音の粒をそろえる」ということ
アコギは意外にダイナミクスの大きな楽器です
フィンガーとストロークでも大きく変わりますし、フィンガーのみでも幅広い音の大小があります
もちろん演奏上の表現等で意図的に強弱を付けることはあるのですが
私レベルの演奏力では「表現を意図した強弱を生かす」より
曲全体を通して音圧が大きく変化しない方がむしろ上手く聞こえたりします
このためコンプを「下手隠しのエフェクター」と呼んだりもするみたいですが(笑)
どうぞどうぞ、私の下手を隠せるものならお隠しください!と胸張って言える私
ウデが無いなら機材でカバー・・・王道であります

必要性その3は「不用意に録音レベルがクリップすることを避ける」ためであります
演奏の録画に数十テイク、血を吐く思いで録った成功テイクを聴き直してみると
なんと一番盛り上がったところで「録音レベルが大きくなりすぎて音が歪んでる~~」というご経験
無いとは言わせません(笑)
コンプレッサーを使うと、この状況をある程度回避できます
このあたりの理屈は次節で詳細にお話ししましょう

コンプレッサーの仕組みと効果

残念ながらコンプレッサーは「効果のわかりにくいエフェクター」と言われます
リバーブやコーラスの効果は明確なんですが、それに比べると地味ですね
これは音色では無くて音量をコントロールするエフェクトだからなのですが
コンプレッサーのものすごく大雑把な仕組みは下図のとおりです

 
THRESHOLD(スレッショルド)を超える音量をRATIO(レシオ)の値に応じて圧縮するのが
コンプレッサーのお仕事です
「なんだ、それなら元の音より小さくする機械なの?」ごもっとも!でございます
でも図でもわかるように「AマイナスB」の分だけ余裕というか
もう少し音量を上げても「録音レベルのリミットを超えない」ということになりますよね
コンプレッサーのもう一つの役割は、この「AマイナスB」の分のスキマを利用して
音量全体を持ち上げることなわけです

原音の最大音量と最小音量の差を小さくしながら、全体の音量レベルを上げる
ということが可能で、これは私の理解ですが、
そのことで「音が前に出る」という感覚が得られるのではないかと考えています
また、上に書いた必要性その3「不用意に録音レベルがクリップすることを避ける」ということも
ある程度可能になるわけです

 ◆スレッショルド(THRESHOLD)
   |どの音量を超えた分にコンプレッションを与えるかのしきい値
   |浅め(上のグラフの緑の線を上に移動)だとコンプレッションの範囲が狭くなる
   |深め(上のグラフの緑の線を下に移動)だとコンプレッションの範囲が広くなる

 ◆レシオ(RATIO)
   |スレッショルドを超えた音量を圧縮する比率(1:n)
   |nを小さくするとコンプレッションの効果は弱く、大きくすると強くなる
   |ただしあまり大きく(n≧10)すると圧縮による不自然さを感じることがある
   |なお、実際のコンプレッションでの動作においては
   |圧縮の開始と同時にRATIO値通りの圧縮がかかるのではなく
   |原音がスレッショルドを超えた時点からATTACK値②の時間をかけて
   |設定したRATIO値通の圧縮比となります
 
 ◆アタック(ATTACK)
   |音量がスレッショルドを超えた時点からコンプレッション100%までの時間
   |   ※)上図のATTACK値②です
   |     ATTACK値①(原音がスレッショルドを超えてから圧縮開始までの時間)
   |     とする解説も多いのですが、どうやらATTACK値②が正しい模様
   |     このタイミング以降RATIO値通りのコンプレッションがかかります
   |早いほど原音のアタック感がやや弱くなるが、クリップに対する安全度が高くなる
   |遅くすると原音のアタックは損なわれにくいが、
   |遅くしすぎると音の減衰によって思ったほどの圧縮効果が得られないこともある
   |音色に大きな影響のあるパラメータだが、
   |同じ設定値でも原音音量との関連で効果が大きく異なる
   |(スレッショルドやリリースも同様だが)

 ◆リリース(RELEASE)
   |音量がスレッショルドを下回った時点からコンプレッション終了までの時間
   |長くするとコンプレッション終了時の音量変化を緩やかにできる
   |また短くするとメリハリがつく、といわれるが
   |自分にはアタック以上に効果がヨクワカラン(^_^;)

 ◆アウトプットゲイン(OUTPUT GAIN)
   |コンプレッションの効果で最大音量が下がった分を利用して音圧を底上げする値
   |コンプレッサー利用の大きな目的がこの効果を期待するものなので
   |アウトプットゲイン=0dbというのは考えにくいが、上げすぎてクリップしないように注意

まあ理屈はこんな感じですが、このエフェクターだけは「使って慣れる」しかない部分が大きい
図中のATTACK値やRELEASE値などはもう「体得」しかないかな
私は弦をはじいたときのアタック感が消えないようにATTACK値はやや長めですが
これもエフェクターのクセとか色々絡んでくるし、一言ではなかなか説明が難しいです

ちなみに「効果を目で見て確かめる方法」があります
これは、AKB48の「とある1曲」の波形データですが、
曲の最初から最後まで、音量レベルが見事に一定ですよね、商業音源って概ねこんな感じですが
これなどは、コンプレッサーで音圧を整えた例ですね


概ね以上の通りですが、コンプレッサーは
曲のミックス、マスタリングに使う(要は後出しじゃんけんみたいに原音の音量レベルがわかって使える)ケースと、演奏時にエフェクターペダルとして使う(言ってみれば出たとこ勝負)の2種類があります
前者の場合は波形を目で見て各パラメーターの調整を行えますが
後者の場合はそれができないので、
コンプレッションレベルメーター(ペダルに付いてれば)と経験が頼りです
かなりの慣れと経験が必要ですが、「設定変更→録音→波形確認」を繰り返すことで
少し「慣れ」の速度を速めることができるかもしれません

コンプレッサーの接続順序

これは結構悩ましい(笑)
下図で2タイプの接続を示しましたが、
 ・EQの効き目をよくするためにEQはコンプレッサーの前段
 ・空間系は最後段という鉄則を守ってディレイ、リバーブは最後段
という条件は同じですから、違いはプリアンプの前か後ろかです

実は製品にもよると思いますが、
コンプレッサーは、ゲインを相当上げるか、入力音量を一定以上にしてやらないと
ほとんど効果がありません
その意味で、Bタイプの接続はコンプレッサーの効果が得やすいのですが
私の環境ではなぜかホワイトノイズがかなり大きくなってしまします
「過大な増幅によってノイズが拡大しただけ」という見方もあるでしょうが
明らかにそれとは異なるノイズの増え方・・・なんでかなあ

Aタイプ接続はBタイプと比べて、波形を比較してもコンプの効果はやや控えめですが
圧倒的にノイズが少ない
まあ、背に腹は代えられない、ということで私の選択は「Aタイプ」であります

しかしこのあたりは、それぞれの環境にも製品にもよりますので
色々と試して見ることが必要です
「めんどくさ~い!」・・・いえいえこれが楽しいのですよ(笑)


コンプレッサーの選択

製品化されているコンプレッサーは、もう異論続出を覚悟して言えば、大きく2種類にわけられます

 ■コンプレッサーの効果が強めで、音の立ち上がりがなんだか潰れたように聞こえる
   いわゆる「パコパコ系」コンプレッサー
 ■コンプレッサーの効果がゆるやか、下手すると「効いてるかどうかわからない」という
   いわゆる「ナチュラル系」コンプレッサー

使っていただくとわかると思うんですが、「パコパコ系」はソロギターにはかなりきついです(笑)
エレキなどでむしろそういう音を狙う場合は有効だと思いますが
ソロギにはナチュラル系があいます(あ~言い切っちゃったよ・・)
というか、私自身も

少しでもコンプ臭さを感じるとなぜか嫌~な気分になる

そんな中で、コンプっぽさを完全に消すのは無理でも、できるだけナチュラルなタイプという目線で
いくつかおすすめできそうな製品をご紹介したいところなんですが・・・
自分もマルチに入ってるコンプ以外の「単品コンプ」は5つしか持っていない(^_^;)
あまりたいした情報提供はできませんが
かなり長い記事になってきてしまったので、次回にでもご紹介していこうと思います


2 件のコメント:

Akiraman Raman さんのコメント...

コンプは奥が深くて手を出せず、そしてリミッターとの違いもわからず、あぁ神よこの哀れな私に救いの手を。コンプ中退の私、いい演奏の為にはコンプに魂を売り渡しかねません(笑)
この特集でしっかり勉強します。

Zi Zi さんのコメント...

>Akiramanさん

こんばんは~~
そうなんです、コンプは奥が深い割に効果がわかりにくい
そして、あからさまに効果が耳でわかると
「こんな音はヤダ!」ってことになる・・という
とっても困った子です(笑)
基本はスレッショルドを-20dbくらいの低めに設定して
他のパラメータを変えながら音の傾向を探るのが慣れるのには良いと思いますが
最近のハードウェアコンプには、今回説明したようなつまみがないものも多い(^_^;)
ややこしい限りです
当然ながら私自身も実のところ「ようわからん」のです(笑)