2020年6月27日土曜日

モノラル録音のステレオ化

さて、先日もりそうさんからギターのステレオ録音について質問がありましたが
「マイク2本使わなくてもモノラル音声をステレオ化することが出来ますよ」
とお答えした、そのお話です


音声トラックについて


ステレオ化の前に少し音声トラックについておさらいしとこうと思います

【モノラルトラック】

下図(Audacity)のようにLRの区別のないと音声トラックのことです
ヘッドホン聞くと中央に音が定位します
マイク1本でAudacity等の録音設定でモノラルを指定しているとこの形式になります



【デュアルモノトラック】

LRの区別はありますが、LRとも同じ音が記録されたステレオ音声トラックのことです
この場合もヘッドホン聞くと中央に音が定位します
マイク1本でAudacity等の録音設定をステレオに指定しているとこの形式になりますが
オーディオインターフェイスの設定によっては
以下の「ステレオ(片チャンネル)」になる場合もあります


【ステレオトラック(片チャンネル)

LRの区別はありますが、LRどちらかにしか音が記録されていないステレオ音声トラックのことです
この場合はヘッドホンで聞くと右か左どちらかに音が定位します
オーディオインターフェイスの設定によってはこの形になる場合があります


【ステレオトラック

LRの区別があり、LRともよく似た波形だけど
微妙に異なる音が記録されたステレオ音声トラックのことで、一般的な音楽CDのトラックです
この場合はヘッドホン聞くと広がり感のある音を聞くことが出来ます



デュアルモノトラックを作る


ステレオ化の前にまずデュアルモノトラックを作る必要があります
これは音声編集ソフトによってやり方が異なりますが、Audacityを例にとると以下のようになります

【モノトラックから作成】

 ・モノトラック全体を選択⇒編集・コピー
 ・選択状態を解除してから⇒編集・ペースト
 ・最初のモノトラックの「▼」をクリックして「ステレオトラックの作成」をクリック

【ステレオトラック(片チャンネル)から作成】

 ・トラックの「▼」をクリックして「ステレオからモノラルに分離」をクリック
 ・二つのモノトラックが出来るので音声が記録されてない方のトラックを「×」で削除
 ・ここからは上記「モノトラックから作成」と同じ手順です


ステレオ化①:ステレオリバーブを使う


ステレオリバーブプラグインを使うと、
ギターの音は中央定位ですが「残響音だけステレオ化する」ことが可能です
フリーのプラグインも多く、最も簡単にステレオ感が得られる方法です

フリーのステレオリバーブ「oril river」

以下はサンプル音源ですが、是非ヘッドホン、イヤホンでお聴き下さい
違いが分かりやすいと思います

【元のモノラル音声】




【ステレオリバーブでステレオ化】




ステレオ化②:専用ソフトを使う


ステレオ化用のソフトプラグインというのも存在します
なかなかフリーというのはないので、多少の費用がかかるというのが難点ですが・・・
うちで使ってるのは「izotope ozone4」という、もう5世代くらい昔のプラグイン
最新版だとizotope ozone9 standardになるようですが、2万円後半と少々値が張るのが痛いです
でもちゃんと「ステレオもどき」に(笑)
ステレオ感の程度も調整可能です(MULTIBAND STEREO IMAGING機能を使用します)
リバーブはかけたくないけど広がり感は欲しい、そんなときには便利です



【元のモノラル音声】




【専用プラグインでステレオ化】




ステレオ化③:無料の変換サービスを使う


なんと無料でモノラル音声をステレオ音声に変換してくれるサイトがあります
そして・・・変換元になる音源は
 ・モノトラック音声
 ・デュアルモノトラック音声
 ・そしてなんと片チャンネルしか入っていないステレオ音声
のどれでもどんとこい!という優れものです
細かな設定は出来ませんが、必要十分じゃないでしょうか
変換時にステレオ化の強さを設定しますが、デフォルトでは「8」になっています
以下のサンプル音源は強度10で作成していますが
デフォルトの8のままか、もう少し小さい値の方が自然に聞こえるかも知れません


【元のモノラル音声】




【変換サービスでステレオ化】




まあ、あくまで擬似的なステレオ感ではありますが、ご参考になりましたでしょうか


2020年6月21日日曜日

アコギ録音用マイクに思うこと

アコギをマイク録音したいんだけど・・・どんなマイクを選べば良いの?
その疑問にある程度答えられればと思ってはいますが
残念ながら完璧な答えというのは存在しません

用途、音の好み、録音機材環境も大きな要素ですし
見た目やメーカーへのこだわりという部分もあるでしょう
このブログではマイクに限りませんが、
情報提供によって商品選択の助けになればというのを基本スタンスとしていますので
今回の記事もそのようにお受け取りいただければと思います

前々回まで3回連続でお届けした、マイク紹介記事のまとめ的な内容でもあります
  ・コンデンサーマイク AKG C414 XLS
  ・コンデンサーマイク AKG C451B
  ・コンデンサーマイク LEWITT LCT 441 FLEX

ちゃんとしたマイクが絶対必要?


そんなことはありません(笑)
世の中にはハンディレコーダーといったものもありますし

ハンディレコーダー(ZOOM H4n)

最近ではスマホのマイク品質も随分向上しています
録音でなくてもツイキャスなどの配信で
スマホ配信のアコギがやけに「良い音!」って思われたことはないでしょうか
 ※特にiPhone(笑)
スマホを使った録音では200~300Hzから下がバッサリカットされてるのですが
これが妙に生音っぽく聞こえるわけです
そういった音が好きであれば「ちゃんとしたマイク」を使う必要はありません

逆に豊かで迫力のあるアコギの音を録音しようとすれば
やっぱりマイクと録音機材が必要になります

ダイナミックかコンデンサーか?


ダイナミックマイクとコンデンサーマイクを以下に簡単に比較してみました
一見するとコンデンサーマイクの方がデメリットだらけに見えますが
そんなデメリットをなんとかしてでも使いたくなる音質がコンデンサーマイクにはあります
もちろん、コンデンサーマイクといってもピンキリですが
少なくとも、これまで試した20本以上のコンデンサーマイクで「心底ガッカリ」はありません
録音におけるコンデンサーマイクの優位性はやはり「ある」と私は思います

【ダイナミックマイク】
 □ 環境ノイズなどを拾いにくいので目的の音だけをとらえやすい
 □ 頑丈である程度荒っぽい使用にも耐える、また湿度管理などあまり気にしなくてもよい
 □ 駆動のための電源を要しない
 ■ コンデンサーマイクに比べれば低感度で細かなニュアンスまでは拾いにくい

【コンデンサーマイク】

 □ 高感度かつ広い周波数域に対応するので、高音質録音が可能
 ■ 駆動のための電源(ファンタム電源)が必要
 ■ 衝撃や湿気に弱い
 ■ 高感度ゆえ環境ノイズを拾いやすい 

多くの音楽シーンで、ステージ上で多く見かけるのはダイナミックマイク
録音スタジオで多く見かけるのはコンデンサーマイクというのは、
皆さんもお感じになってることと思いますが、要は「そ~いうこと」ってワケです

ダイヤフラムは小口径か大口径か?


結論から言えば、アコギ録音では「小口径(スモールダイヤフラム)」が使いやすいです

コンデンサーマイクには、スモールダイヤフラム ラージダイヤフラムの2種類がありますが
  ※他にバックエレクトレット方式というのもあるけど・・・
これはマイクの集音装置であるダイアフラムの口径による呼称の違いです
ただ、そのしきい値がはっきりしてるわけでもなさそうで、
概ね直径1インチ前後をラージダイアフラム、
それより小さいものをひっくるめてスモールダイヤフラムといってますが、
そんなことより、見た目の方がわかりやすいです
 ・スモールダイヤフラム:ダイナミックマイクのようなハンドヘルド型やペンシル型
 ・ラージダイヤフラム:サイドアドレス型と呼ばれる形状、多くはショックマウントを伴う

ラージダイヤフラムは、感度が高く、中低域が豊かという特徴がありますので
取り扱いが適切であればスモールダイヤフラムより高音質で録音できる可能性はあるのですが
セッティングや録音後の処理などにかなりの経験と技術が必要です

それに比べてスモールダイヤフラムは引き締まった輪郭のはっきりした音にしやすいです
また、なんといっても口径が小さいだけに
音の立ち上がりに優れ、アタックが明瞭という特徴があるのも見逃せない点です

もちろん、1本でアコギもボーカルもピアノも金物も等々とオールマイティに使いたい場合は
ラージダイヤフラムの優位性はありますが
アコギに限れば、やはりスモールダイヤフラムが無難な選択です
とはいえ、スモールではボーカルは無理ってワケでもありません
そのあたりは知恵と工夫の世界でもありますし
スモール1本でいろんな音源に対応するための試行錯誤は、
マイキングや音声処理のよい練習となるはずです


良い音のためには高いマイクが必要か?


上で書いていることを簡単に言ってしまえば

「アコギ録音ではスモールダイヤフラムコンデンサーマイクが使いやすい」

ということになりますが、では価格的にどのランクのマイクが必要なのでしょう

例えばペンシル型のコンデンサーマイクは、数千円から数十万円まで幅広く存在します
確かに高価なマイクは優秀なのでしょうけど
  ※ といっても私、数十万クラスの音はしりませんが(笑) 、
現実には数千円でも使えないレベルではありませんし、
高価なマイクとの差もそれほど大きくありません(多少危険な書き方ですがw)
むしろ、高価なマイクの場合それなりのマイクプリアンプ、レコーダー、録音環境などがなければ
真価を発揮しない(価格相応の性能を発揮できない)可能性もあります
「価格が高い=良いマイク」は、言えなくもないですが、
その価値を引き出すには相応の設備とウデ(知識や経験)が必要ということですね

例えば、以下のサンプル音源のうち、スモールダイヤフラムの3本
  ・AKG C451B:SH価格27280円
  ・RODE NT3:SH価格31900円
  ・BEHRINGER C-2:SH価格6358円(2本セットなので、3179円/本)
を比較しても、価格的には激安のBEHRINGERが決定的に劣るとは私には思えません
  ※ C-2は2本使いでなく、1本のみのモノラル録音としています

これからスモールダイヤフラムの導入をされる場合は
まず安価なものを購入し、使用する中で何か不満を感じたら、
  ・マイキングや音声処理による対処を工夫する
  ・「良い音」に対するイメージを可能な限りはっきりさせる
といったステップを踏まえて、より上位のマイク購入を検討されても良いと思います


ファンタム電源の確保は?


コンデンサーマイクの欠点の一つに「ファンタム電源を要する」ということがあります
一般にファンタム電源を供給可能な機材としては、以下のように意外に多いものです
 ・MTR(マルチトラックレコーダー)
 ・ハンディレコーダー
 ・オーディオインターフェイス
 ・ミキサー
 ・マイクプリアンプ
 ・専用のファンタム電源  等々(ただしファンタム供給可と明記されたもの)

なので、お気づきでなくとも、そもそも録音のためのマイクを求めてるわけですから
すでにそういったファンタム供給可能な機材をお持ちの可能性も高いと思われます
今一度、お手持ち機材のファンタム電源供給機能の有無を確認してみてください

それでも、やっぱり無かったときは
手持ち機材とのバランスを考えながら・・・・お買い求めください(笑)

録音のための最小機材構成


これも、録音の目的次第と言えばそれまでなんですが、あえてあげるとすれば

【パソコン(スマホ)利用可の場合】
 ・マイク+オーディオインターフェイス(ファンタム可)でPC(スマホ)録音

【パソコン(スマホ)が利用できない場合】
 ・マイク+ハンディレコーダー(ファンタム可)で録音

でしょうか、ただ後者であってもデジタル音声を活用する場合はどのみちPC必須でしょうから
前者が一般的と考えても良さそうです
ちなみに、PC録音用のソフトは、OS付属の音声アプリからcubaseのようなDAWまで様々です
フリーソフトではAudacityが有名で十分使えますが
使用するオーディオインターフェイスが4ch以上の多チャンネル仕様だと、
マイクを3ch以上のチャンネルに接続する場合はDAWソフトが必要になる場合が多い
ということに留意が必要です
  ※Audacityのような2ch専用のアプリは使えないことがある

最近はオーディオインターフェイスにcubase等のDAWが付属することが多いですが
こんな、フリーのDAWアプリもありますので、参考になればと思います
 

インストール方法などは、ネット上に色々情報があります
私もUAC-8(オーディオインターフェイス)でマイク録音の場合は使ってます

サンプル音源のまとめ


これまでの3回の記事で用いたサンプル音源を以下にまとめてみました
(BEHRINGER C-2は今回の記事で追加)

【ラージダイヤフラム】








【スモールダイヤフラム】










2020年6月15日月曜日

ポンちゃん追悼 西村歩「月夜君想」

ポンちゃんの旅立ちからもう50日以上が経ちました
追悼の気持ちを込めて弾こうと決めたのがこの「月夜君想」
あまり上手くは弾けませんでしたが、気持ちだけは満タンこもっております


「月夜君想」 ツキヨルキミオモウと読むそうです


西村歩さんの最新アルバム「Best of Ballads」に収録された1曲です
「Best of Ballads」は、西村さんのプロデビュー10周年記念のベスト盤ですが
その中に1曲だけ新曲として紹介されているのが「月夜君想」です

自分はすでに西村さんの全アルバムを持ってるので
このベストアルバムを買おうとは思わなかったのですが(笑)
幸い「月夜君想」は楽譜がダウンロード販売されてましたので即購入
西村さんのお手本演奏もyoutubeにあったので、それで練習を始めました



基本的に「難曲」ではないのですが・・・
部分セーハの絡んだ運指がそこそこ難しいです
音が出なかった、なんていうのはまだマシで、
ポジションチェンジに手間取ってメロディが途切れることが2箇所でどうしても克服できません
西村さんの動画も何度か見返したのですが・・・・
そこはそれ、あきらめも早いw

この人とは指の構造が違うのだ

と、かなり音を飛ばして手抜きも試みたのでしたが、
それでもスムーズにつながらないところは・・・ノコリマシタ(^0^;)
え?楽譜通りじゃない???、そんなご指摘はウケツケマセン(笑)


録音


今回の録音は、当初ラインで録る予定だったのですが
どうも薬指の爪の具合が悪く、ペンペンと安っぽい音にしかならない
で、何度も爪を削りなおしてるうちにどんどん短くなって・・・(笑)
もう限界!ってとこまで削ってもなぜかどうにもならないのでラインはあきらめました

でも不思議なもので、マイク録りだとそれがあまり気になりません
それに、せっかく新しいマイクもあるしで、本曲はマイク録りで挑むこととなりました

 ◆マイク:AKG C451B(150Hzローカットスイッチオン)
 ◆ギター:YOKOYAMA AR-SR
 ◆マイクプリ:ZOOM UAC-8(オーディオインターフェイス)
 ◆DAW:Cakewalk by BandLab(フリーソフト)
 ◆プラグインリバーブ:OrilRiver(フリーソフト)

使用したリバーブはフリーのVSTプラグインですが、かなり細かな設定が可能なので
今回の録音ではER(アーリーリフレクション:初期反射音)をほぼカットし
リバーブのテール部分のみを使う形で設定してみました
こうすることで、超深いリバーブなのにもかかわらず、
原音の埋もれ方が少ないようなそんな風に思っております


似たような効果として「プリディレイを長めに取る」という方法もあります
私も普段はプリディレイ=100ms前後とすることも多いのですが
初期反射を小さくする方が、なんとなくですけど自然な感じに仕上がるような「気がします」(笑)


ポンちゃんやすらかに


動画は、ポンちゃん、チーちゃんとの思い出を交えてつくってみました
もう涙は涸れ果てたと思ってたんだけど、子猫の時からの写真を見てるともうたまりません
編集してる間ずっとグスグスって(^0^;)

でも、ポン、チー、パパ頑張ったよ!天国で聴いてね!!!!



下手さ加減はもう言い訳しませんけど、
一番笑えたのは、タッピングハーモニクスにいこうとしたときに
ギターに張り付いたウデがはがれる音がすごくて、本人も結構動揺w
マイク録音なので扇風機を止めてたから汗がね~
 
長袖に着替えてもう一回トライ!なんて気力は当然ありませんでした(笑)
そろそろアームカバーが必要になりますね

あ、それと巷では「みんなで西村歩の曲を弾こう!月夜君想」という企画があるようですが
私の気持ちは「ポンチーを偲んで」ということですし
企画参加はしません、ま、こんな出来だし・・・w

2020年6月9日火曜日

コンデンサーマイク LEWITT LCT 441 FLEX

4連投記事の本日が第3回目であります
前々回のAKG C414 XLSと同じラージダイアフラムです、楽しみ楽しみw


LEWITT LCT 441 FLEX



 
LEWITTはあまりなじみの無いマイクかも知れませんが
創立からまだ10年程度のオーストリアのマイクメーカーです
しかし、プロユースにも十分耐える音と品質で、すでに各方面で高い評価を得ているようです
ただ、私的には・・・
見た目が格好ええ!というのが大きな魅力でしてw
正直言えば、音で選んだマイクではありません
それにしてもこの黒に緑の取り合わせが、なんとも言えない!
見た目だけで「さわやかな音」が予想されるではありませんか(笑)

LCT 441はLEWITTのラージダイアフラムマイクのラインナップの中では
ほぼ中位に位置するマイクですが、それでもおおむね5万円とそこそこなお値段です
大きな特徴としてはマイクの表裏で同様に使用可能ということで
特殊なマルチパターン設定で、表面でも裏面でも
単一指向性やゆるやかな単一指向性といった設定が可能というものです
  ※単に裏表を間違っても大丈夫なのではなく、それなりの設定が必要です


■コンデンサーマイク
■指向性:無指向, ワイドカーディオイド, カーディオイド, スーパーカーディオイド, 双指向
          reverse cardioid, reverse wide cardioid, reverse supercardioid
■感度:17.2 mV/Pa, -35.3 dBV/Pa
■等価ノイズレベル:7 dB (A), cardioid
■最大耐音圧 SPL (0.5 % THD):144 dBSPL
■S/N比:87 dB (A)
■ダイナミック・レンジ:137 dB (A)
■消費電流:4 mA
■内部インピーダンス:54 Ω
■マイク筐体:亜鉛ダイキャスト
■寸法:138 x 52 x 36 mm, 5.43 x 2.04 x 1.42 in
■重量:325 g


サウンドサンプル


今回も比較用音源として、以下のの2本もあわせて聴いていただくこととしました
 ・AudioTechnica AT4040:国産フラットマイクの雄!
 ・RODE NT3:お手頃なギター録音マイクとしては定番!


【録音条件】
 ・マイクセッティングは14~15フレット前約20cm
 ・マイクのローカットやパッドスイッチは全てオフ
 ・マイクプリアンプはオーディオインターフェイスZOOM UAC-8を使用し
  どのマイクの場合もゲインは同一にセッティング、80Hzのローカットスイッチオン
 ・エフェクト、EQ処理は一切使用しない、また音量調整も一切無し

【LEWITT LCT 441 FLEX】




【比較音源】






【私の感想】

第一印象はAKG C414 XLSとよく似た感じで、艶感、密度感ともに素晴らしいと思います
ただし、見た目の印象通りwどこかスッキリさわやか(笑)
スッキリさわやかな原因、かどうかはわかりませんが
このマイクの少し変わった周波数特性ももしかしたら関係があるのかも知れません


低域は500Hzから下で緩やかにロールオフし、
高域は2k以上がやや持ち上がって15k付近にピークがあります
たしかに万能性ということでいけばC414に歩があるとは思いますが
アコギに限ればLCT 441 FLEXは結構良い選択かも・・・
豊かさも十分ありながら、ほんの少し贅肉を落としたすっきり感がタマリマセンw

C414より約1万円安いというのもポイント高いですし
ショックマウント、ポップフィルター、スポンジ製のカバーもちゃんと付属します
ただ、SHでは「ケースも付属」とありますが、アルミ製のケースが付属するわけではないので
そこだけはちょっと残念です

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

今回紹介予定のマイク3本は、これで全てです
参考までにですが・・・
C414にしても今回のLCT 441 FLEXにしても専用のショックマウントが必要で
使用のたびに付け替えないといけないのが少し邪魔くさいですね
実はRYCOTE RY-INVUSMでも、この2つのマイクのマウントは可能です
ただ、C414は問題ないですが、LCT 441 FLEXはスイッチとディスプレイの関係上
少し工夫と注意が必要です

 

2020年6月3日水曜日

コンデンサーマイク AKG C451B

4連投記事の本日が第2回目であります
前回のC414 XLSと同じAKG製ですが、今回はスモールダイヤフラムの代表格C451B
どんな音を聴かせてくれますでしょうか


AKG C451B


 
C451は、1960年代から金物やアコースティックギター用のマイクとして
不動の地位を得てきた名マイクでしたが、1993年に廃盤となりました
AKG C451Bはその後、2000年代に入って復刻版として発売されたものですが
それまでの451シリーズ(EやEB等)とはややキャラが異なるようで
ビンテージの方に魅力を感じられる人もまだ多くいらっしゃるようです

旧版C451はオークションなどでもよく見かけ、入手はさほど困難ではないのですが
状態確認も難しいし、私の場合旧版へのコダワリというのも全くないので
あえて冒険は避け、現行C451Bの購入となったわけです

一般的なペンシル型スモールコンデンサーマイクということで
ショックマウントを使うラージダイヤフラムと比べると取り回しが圧倒的によく
気軽に使えるメリットは大きいです
また、パッドスイッチやローカットスイッチなど機能面でも充実しており
アコギ録音なら持ってて損は無いマイクです

■ 形式 : コンデンサー型
■ 指向特性 : カーディオイド
■ 周波数特性 : 20Hz~20kHz
■ 開回路感度 : -41dB re 1V/Pa
■ 最大音圧レベル : 135dB SPL (パッドOFF、THD 0.5%)
■ 等価雑音レベル : 18dB SPL(Aウェイト)
■ パッド : 0/10/20dB
■ ローカットフィルター : Flat/75Hz(12dB/oct)/150Hz(12dB/oct)
■ インピーダンス : 200Ω以下
■ 電源 : ファンタム DC9~52V/2mA以下
■ 端子 : XLR(3P)
■ 寸法(φ×H): 19×160mm
■ 質量 : 130g
■ 付属品 : マイクホルダー、ウインドスクリーン、キャリングケース


サウンドサンプル


今回も比較用音源として、以下のの2本もあわせて聴いていただくこととしました
 ・AudioTechnica AT4040:国産フラットマイクの雄!
 ・RODE NT3:お手頃なギター録音マイクとしては定番!


【録音条件】
 ・マイクセッティングは14~15フレット前約20cm
 ・マイクのローカットやパッドスイッチは全てオフ
 ・マイクプリアンプはオーディオインターフェイスZOOM UAC-8を使用し
  どのマイクの場合もゲインは同一にセッティング、80Hzのローカットスイッチオン
 ・エフェクト、EQ処理は一切使用しない、また音量調整も一切無し

【AKG C451B】




【比較音源】






【私の感想】

いやいや、正直驚きました
ペンシルサイズながらラージダイヤフラムのような豊かな音です
低域の破たん限界がやや早めな傾向はありますし、ちょっと平面的な雰囲気もありますが
シャキッとしながらも豊かで十分な密度を感じます
いやはや・・・でありますw
逆に少し低域を拾いすぎるきらいもあるので、セッティングを工夫するか
150Hzローカットスイッチをオンにした方が使いやすいかも知れません

同じくスモールダイヤフラムのRODE NT3とも音の傾向はかなり異なります
ただ、それは「今回のセッティングでは」という話でもあるし
それぞれの特長を生かす工夫をすれば、あとは好みの問題と言える範囲であって
優劣ではないと思います
音で選ぶなら、シャキッと感重視の人はNT3、豊かさ重視ならC451Bかな??

どっちが使いやすいか?と問われれば・・・・・そうですね~
小さくて取り回しのよいC451Bが、わずかに有利かなとも思いますが
ファンタム給電の環境がない場合は電池駆動可能なNT3だし
これもケースバイケースですね

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

ペンシル型は、ただシャキッとした音という固定観念をちょっと揺さぶられたマイクでした
スモールダイアフラムもなかなか奥深いですね