2015年11月7日土曜日

コンデンサーマイク比較 ペンシル&ハンド編

マイクテスト第2弾「コンデンサーマイクのペンシル&ハンド編」です
アコギのフィンガースタイルに特化したマイクテストになります

西村歩さんの「さくら(独唱)」もこのテストのせいで半分からなかなか進まない(笑)
早く切り上げないと、半分で飽きてしまいそうです
また前回同様、各マイクの所見は音響関連の知識も経験もない、素人の戯れ言でございます
「バカ言ってンじゃないよ」とのご感想はごもっともですが、
そこは「そう感じる人もいるのか」といった程度に受け取っていただければ助かります

【対象機種】

以下の4機種です

  ①BEHRINGER C-2
  ②FOSTEX MC10ST
  ③JTS TX-9
  ④RODE M3
  ⑤RODE NT3

【録音方法】

JTS TX-9が、MIC2200(もしくはR8)と相性が悪く、サイドアドレス編とは環境が変わります
(ノイズ発生のため)
ごく普通の民家ですので、遮音、吸音といったことは出来ていません
ごく普通な宅録環境とお考え下さい

 ・同じ部屋、同じ場所で録音
 ・ギター:FURCH G23-CRCT(マイク方向はネックジョイント付近、距離は10cm強~20cm)
 ・弦:Elixir CustomLight)
 ・曲目:西村歩さん「さくら(独唱)」の半分くらい
 ・録音機材:ZOOM Q8+AOOM A3(マイクプリ、ファンタム給電機能のみ使用)
 ・各マイクのスイッチ設定:ローカットオフ、パッドオフ、単一指向性にセット
 ・機材の仕様上、1本ずつ録音
 ・音源の加工:正規化のみ


【サンプル音源&所見】


ベリンガーの格安ステレオペアマイクだが、円安のせいで千円以上値上がりしている
(今回は1本のみ使用している)
高くなったとはいえ、それでもコストパフォーマンス十分の良くできたマイクだ
太さがマイクケーブルのコネクタ部分とさほど変わらないという小さな体つきに似合わない
十分に太めな音を聞かせてくれる
豊かさとか繊細さというのはサイドアドレスにはかなわないものの
しっかりした密度感に適度な繊細さをあわせ、気持ちよく聞くことが出来る
どこかですかっとした抜けが感じられると満点近いが、それは酷かもしれない
感度も十分だし、小さく軽いということで使いやすいマイクでもあるが
より低域を拾うようオンマイクセッティングになりがちなため、鼻息も良く拾うので注意
しかし、同じマイクが2本ついていて、必要ならステレオマイクとしても使えるし
マイクホルダやステレオバーもつくということも考えると、この価格は驚異的とも思える


FOSTEXのステレオペアマイク
ベリンガーC-2と比べると、太さは1倍、長さは2倍、価格は3倍・・・
何とも透明感のあるすっきりとした音だ
C-2のような加工感というのも悪くないが、ギターの個性を引き出すならこちらの方が良い
やや固いと感じさせる部分もあるが、それほど嫌みなものでもないと思う
総合的にはC-2よりも私には上質な音と感じさせるが、好みの範疇ともいえる
感度はC-2よりもやや高めなので、鼻息感度も良好である
5分くらい息を止められればベターだが・・・当面、ゲインをやや下げるくらいしか対策はないかも
ステレオペアなので、もちろん2本のマイクがついてくるのと
写真のショックマウントとステレオバーも付属する


安価なコンデンサーマイクだが、SHでの評価はとても高い
確かに音はよいと感じるのだけど、ダイナミックマイクかそれ以下くらい出力(感度?)が低い
もちろん、ボーカルなんかには十分に実力を発揮するが
ギターの繊細な音を録るにはちょっと感度不足で使いにくい気がする
そのせいかどうかは不明だが、ベリンガーのマイクプリとは相性が悪く、
無理に増幅したからか、「ジー」というノイズが出る
このノイズがZOOM A3だとでないので、今回の録音環境となった
音は繊細でやや細い分すっきりと聞こえる良さもある
だが、スピーカーではわからないが、ヘッドホンだとなんか微妙に不自然な気がするのはなぜ・・
やはり、もう少しだけでも良いから高感度であって欲しいと願う


RODEのコンデンサーハンドマイク
同型のマイクではNT3の方がよく知られているが、M3はその廉価版的位置づけ
値上がりを続けるRODE製品の中では一人気を吐き踏ん張って1万円強の価格を死守している
さすがにぶっといマイクだけあって、ペンシルとはひと味違う
いや、C-2やMC10STもとても良いのだが、なんかリッチ感が漂うのであるよ
中域の豊かさが何とも心地よいが、スモールダイアフラムらしいキレのある感じも健在で
バランスのとれた良いマイクだと思う
RODEらしい疑似倍音というのもあって、やや装飾的と感じる部分もあるが、
サイドアドレスでも書いたように、私は好きだし、こういう方向性はあって良いと思う
ただし、NT3と比べると装飾感は少なめと感じる
感度はC-2とMC10STの中間くらい
ただ、何せ太くて重いので、扱いやすいということは無い
専用のホルダーでないとセッティングできない点もちょっと減点要素ではあるけど
ギター録音をするなら、NT3かM3は1本持っておきたいマイクじゃないだろうか


RODE M3の上位機種、NT3
M3に比べるとやや軽く、径も1mmくらい細いがよく似た形をしている
しかし、音は全く異なると言っていい
確かに似たような系統の音だとも感じる部分もあるが、
中高域のキラキラ感がいっそうはっきりし、そして何より違うのが低域の豊かなことだ
M3が200Hzあたりから比較的急にロールオフするのに比べて
NT3は同じく200Hzあたりからロールオフするのだが、低減の仕方が極めて緩やかで
30Hzあたりまでフラットといって良いくらいの特性となっている
この差がもろに出た形で音に影響している
また、僅かだがM3よりもノイズレベルも低く、ほんとに良くできたマイクだと感じる
もちろんRODE独特の装飾的な加工感はある
しかし、自分でここまで音の仕上げが出来るかと考えると、正直自信がない
少し派手目な音が好みで、かつ録音をそのまま使う人であれば、
確実にオススメできるマイクといえる


★参考音源:普及クラスのサイドアドレス代表としてAT-2020を比較用に置いておきます


【感想など】

スモールダイアフラムもバカにできんなあと、改めて思います
サイドアドレスのような豊穣感はやや劣るとしても、キレの良さや、軽快感が
少し異なる気持ちよさを感じさせてくれます
両者の中間的というか、低価格でいいとこ取りをしたようなマイクがRODE M3です
マイク選択に困ったら・・・とりあえず1本いっときましょう(笑)

さらに生き生きとした音が欲しいときはRODE NT3
少し高いですけど、ここの音源が気に入っていただけるなら「間違いのない1本」
といって良さそうです
もちろん、独特の加工感というのは健在ですけど、
このサイズのマイクでは、RODEだからと言うことではなく
どんなマイクであれ、ある程度味付けしないと、
良い感じの音にするのはなかなか難しいのではないかと思います

ショックマウントの装着とか、なんか録音で身構えるようなこともなく
気軽に使えそうな気がすることも、このタイプのマイクの良さかもしれません




10 件のコメント:

しばしば さんのコメント...

うーん、どれが1番いいか・・分らない。。。
難しいですねー
いい音ってノイズとかもあるけどやっぱり生音に近い音ですよね。
生音と比べるには直接聴かないと・・・うーんやっぱり難しい・・・

zizi さんのコメント...

しばしばさん、おはようございます

難しいですね~、だからこそうちには20本以上のマイクがあると・・
まあ、そう言うことにもなります(笑)

原音再生(生音に近い)というのもひとつの目安ですが
まず「ギターの原音」をどう捉えるかと言う問題があります
 ・弾き手に聞こえてるのが原音?
 ・聞き手に聞こえてるのが原音?
 ・どの位置の聞き手に聞こえてるのが原音?
 ・どんな環境で聞こえてるのが原音?
また、人が聞いている音というのは複雑な反響と吸音の結果ですから
どのような原音を拾うにせよ1本のマイクでは拾いきれないと言うこともあります
仮に聞き手が聞いている音を出来るだけ忠実に拾うとすると
離れた位置に2本ステレオで、ギター間近にモノラルで1本は最低必要かなって思います
実際、今回23本のマイク録りを終えてみて
全録音を聞き返してみても、「ほんとはもっと良い音なんだけどなあ」
なんて感じております(^_^;)

でも、現実にはそんなめんどくさいことは出来ないので(笑)
だいたいの方はモノ1本で録るんですが
そう考えると生音に近いと言う方向よりも
いかに気持ちよく聞こえるかの方が大事に思えてきます
ちょっと語弊はありますけど
原音、というのはちょっと横に置いといて、気持ちよさ優先の選択が
モノ1本の場合は正解かなと思うわけです

とか、マイクを語りつつ・・・
結局私なんかは演奏のアラを隠すために最終的にリバーブかけちゃったりします
迫力が欲しいときは低音をちょっと足したりもします
内緒ですけど
つっかえて間が開いたとこは、音を切ってつないだりもします(^_^;)
あんだけマイクの音にこだわってたくせに、
「何じゃそりゃ!」と自ら突っ込みたくなります

しばしば さんのコメント...

やっぱり広いホールとかじゃなくて、部屋の目の前で聴いてる感じがいいですね。
実際はたいした音じゃないギターがいい音で聞こえるのは論外として、
音に深みがあるギターがペラペラな音じゃなくその深みが解るような・・・うーんやっぱり難しい・・・
昔、車のオーディオに凝っていた頃、シートに吸収される音を何とかしようといろいろ手をかけたことを思い出します。
いつも勉強になります、ありがとうございます。

zizi さんのコメント...

「実際はたいした音じゃないギターがいい音で聞こえるのは」
そんなマイクが欲しいです~~(爆)

わかったようなこと書いてますけど、私の知見もペラペラですから
「ふ~~~ん」くらいに読んどいて下さいね
きっと半分くらいは思い込みだけで、間違ってるかもです

けど「自分のギターの音を誰かに伝えたい!」という思いは大切だと思います
思いがあるから工夫や試行があるわけですしね
BM800で録ったサンタ君の音、楽しみにしてますからね~~~~~!!!

がめラ さんのコメント...

う~ん、うまいコメが見つからない・・・。
徳島にお伺いしたとき、たっぷりレクチャー願いますぅ。

mssumasum さんのコメント...

RODE NT3が欲しいわぁ…

zizi さんのコメント...

がめラさん、こんばんは

いえいえ、いつの日かお役に立てる日が来ることもあるかもしれませんし
私自身も備忘録のつもりでやってますので
ぜんぜんかまいませんよ~

zizi さんのコメント...

mssumasum さん、こんばんは

そうですよね、NT3はもろにギター向きな感じがします
専用のホルダーは必要なんですが
それでもショックマウントを用意するよりは気楽ですし
電池も使えるというのも場合によっては便利です
RODEはユーザーの心をくすぐるのが上手いですよね

キャプテンチュウハイ さんのコメント...

こんばんは。

前回に引き続きとても面白く、また参考になりました。
有難う御座います。

同じRODEでもM3とNT3だと随分違うものですね。
前回のRODEも含め考えると、値段が安くてもM3という選択肢は
あまりなさそうな気がします。らしさはあるけどマイクとしてはちょっと…
という感じがしました。

私が選ぶとしたらFOSTEX MC10STかRODE NT3かな、と思ったのですが、
価格も考えるとFOSTEXに軍配を上げたくなります。
RODEの音が欲しい人はNT3、とにかく自然に録りたい人はFOSTEX
という具合に趣向の問題かも知れませんね。

zizi さんのコメント...

キャプテンチュウハイさん、こんばんは

MC10STは録音に使うたびに「おおーー」って思います
ステレオでもさらによいのですが
セッティングがなかなか決まらなくなるので
だいたいは1本しか使いません
キャプテンチュウハイさんがおっしゃるとおり
「RODEの音が欲しい人はNT3、とにかく自然に録りたい人はFOSTEX」
というのは多分正解だと思います
あわせて、私もごくごくたま~に「雨音」や「流水」という
フィールド録音もやったりしますが
そんな使い方をする人ならMS10STの選択もあるかもしれませんね

M3はあともう5cmうしろで録れば良かったかなと思います
今回はちょっとこもって聞こえますよね
なにせ、録音を早く終わらせたくて(笑)
そのあたりはかなり手抜きになってます