2015年6月10日水曜日

コンデンサーマイク WM-61A vs WM-61A相当品

以前「Panasonic WM-61A」というとても評判の良いコンデンサーマイクユニットがありました
良いといわれれば、作ってみたくなるのが人情でして
これまでに2セットのステレオコンデンサマイクを作って使ってきました

 
 自作1号                      自作2号

しかし、2,3年くらい前にこのユニットは生産終了となり、今は手に入りません
そのかわり、「XCM-6035」というWM-61A相当品が販売中です
すでに1号、2号があるので、相当品を使って再製作する意味は薄いのですが
どの程度の違いがあるかに興味があって作ってみました

製作前に一応お断りしておきますが(^_^;)
このユニット(本家も相当品も)は「無指向性マイク」ですから
ステレオ仕様で製作する意味はほとんどありません(特に1号のような形状)
もし、面倒なら片耳用のイヤホンを元にして製作しても良いかもしれません
(私はまだモノラル仕様は作ったことがないので、結果は保証しませんけど)

        ※ステレオ感については匿名様のコメントで
          「無指向性であっても1号のような形状なら50cm程度離して録音すると
           自然なステレオ感が得られる」
         とのご指摘をいただき、私自身も本記事の音源を聞き返してみると、
         強くはありませんが確かに自然なステレオ感があると思いますので、
         「意味はない」というのは取り消しさせていただきたいと思います

【①スペック比較】
以下は「Panasonic WM-61A」、「XCM-6035」のデータシートです
周波数特性(WM-61Aは20-16,000Hz、XCM-6035は50-13,000Hz)以外は、
特性も大きさもデータ上はほとんど同じものです


【②材料】
・マイクユニットXCM-6035(今回の工作ではピン無しを使用)
 入手先:秋月電子
   ピン付き:http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-08182/
   ピン無し:http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-08181/
 価格:どちらも1個50円(失敗もするので余分に買っておいた方が良いかも)


・ステレオ仕様のイヤホン
 百均ので十分、これも失敗に備えて2つくらい買っておきましょう


・コクヨ プリット ひっつき虫
 ひとつあれば十分、どこの文具屋でも買えるかも、ちなみにamazonだと300円くらい
 パテ代わりに使います
・カラーワイヤーと小さい結束バンド
 マイク台の製作用、いずれも百均で調達できます
 ワイヤは30cmで手で簡単に折り曲げできるくらいの堅さのが使いやすい

【③必要な道具】
・半田ごて
 電子工作用の先がキリのようにとがったものでないと使えません
・バイス
 マイクの固定なんかに使います、僕は昔百均で買ったものを使ってますが、
 最近ではあまり見かけません、本格的なものは必要ないのでちゃっちいので十分です
 http://item.rakuten.co.jp/edenki/279-13788/
・ルーペと光源
 とにかく細かい作業になるので欠かせません
・テスター
 導通チェックが出来さえすればどんなものでもOKです
・ピンセットか先の細いペンチ
 半田するときに配線を支えます、指で持ったままだと視界が遮られたりするのであった方が便利
・ニッパーかペンチ
 何でもかまわないのですがイヤホンの分解用です

【④イヤホンを分解】
買ってきたイヤホンのスピーカーユニットを分離したいわけで、「とにかく取り出します」(笑)
今回のイヤホンはゴムカバーを外すだけでしたが、
場合によっては、ニッパーで外皮をむしり取るような作業になることもあります
ただし、イヤホンの筐体部分は後で使いますので、そこまでバラバラにはしないで下さい


【⑤スピーカーユニットを分離】
スピーカーユニットをバイスに固定して、半田ごてで配線を外します
外したユニットはもういらないので特に必要がなければ捨てちゃって下さい
このとき、外した線の先っぽに少し半田が残っているくらいが好ましいです(ほんの少し)
配線は見た感じは裸の芯線に見えてショートが心配になりますが、
先の1mm以外は絶縁コートされてるみたいです
ただ、逆に言えばこの先端の導通部分が大事なので、スピーカーから外す際に気をつけて下さい

【⑥グランド端を探す】
イヤホンのプラグは3極ステレオミニプラグで、その一番根本側の金属部分がグランドです
プラグのグランドと線の先端の2本のコードのどっちがつながっているかをテスターで調べます
どちらかわかれば、その線を見分けやすいようにマジックで印をつけておくと便利です


【⑦マイクユニットに接続】
ここからが本番です、まず買ってきたマイクユニットはこんな感じ
写真では大きく見えますが直径は6mmしかありません、恐ろしく小さいです

 
これをバイスに固定します
ここで拡大写真に注意して下さい、半田の盛られた端子が写真では上下に2つありますが、
下の方の端子はハンダの下にある緑の帯が外周のリングとつながってますね
これがグランド側です


この端子と、さっき調べた配線のグランド端を半田付けします
そしてもう一本の線をマイクの上側の端子に半田付けします、このときの注意点は
・マイクの2端子が接触しないこと
・グランドじゃないほうの端子がリングに接触にないこと
・こてを長時間マイクに当てないこと  です
この作業が最大の難関になります
僕も半田付けは超苦手ですが、下の写真はこれでも人生最高の出来です(爆)


もちろん今回はステレオマイクの作成なので、左右2個のマイクについて同じ作業をします
ただし、左右を気にする必要は全くありません
イヤホンの左右の配線には必ず1本グランドが来ています
このグランド線をマイクのグランド端子につなげることが重要です

【⑧上手くできたかチェック】
2つのマイクに上手く配線できた(と思った)ら、パソコンを立ち上げて下さい
パソコンのマイク端子に作成したマイクのミニプラグを差します
次に音声編集ソフト(サウンドエンジンでもオーダシティでも何でも良いです)で、
マイク音声が入ってきているかどうかを確認します
マイクの表面を指で軽く触ったりして、左右ともに音が入っていることを確かめて下さい
このマイクはプラグインパワーを電源として必要としますが
パソコンや外部マイクの接続できるICレコーダーなんかではたいがいこれに対応しているので
こんな確認の仕方で十分確かめられます

【⑨マイクをイヤホンの筐体に収納 & ステレオマイクとして整形
後は簡単です、ひっつき虫を適量ちぎって、イヤホンの筐体の中にマイクを固定します
このときせっかくはんだした線が外れないように、
ハンダ部を瞬間接着剤で固めておくと良いです

 
さすがに、マイク2つがぶらぶらした形では使いにくいので、「自分のスタイルを考えて」
形にしていきます、ただこれは「こうじゃないとダメ」というわけではないので
僕のを参考にしながらご自分でいろいろと工夫してみて下さい
で、今回はこんな感じにしてみました、「据え置き型のステレオマイク」です


【⑩「本家」と「相当品」の音質比較
自作マイク→Audiotechnica AT-MA2→ZOOM Q8の順に接続して音質比較をしてみました

 
厳密な比較などできるような見識も全くありませんので、雰囲気だけの話になりますが
 ・相当品の方がやや音が大きい
 ・相当品の方にはかなり大きなハムノイズがのっている(本家は極めて低ノイズ)
 ・音質そのものはほとんど変わりない
といったことに気づきます。
 
ノイズの原因は私には不明ですが、ひとつ考えられることは元にしたイヤホンの品質です
今回使用したイヤホンはコード長も3.5mと長く、基本的にノイズを拾いやすいのと
リード線そのものの品質なども関係している可能性があります
今のところマイクユニットに起因するノイズかどうかは不明ですが
できるだけコード長の短いイヤホンを使った方が良いのかもしれません
参考までに以下は相当品のハムノイズをソフト的に取り除いたものです
 
 
音の大きさについては
両音源とも可能な限り同じ条件で弾いたつもりですが、人間のすることですので(笑)
ただスペック上は同じ感度ですから、この結果は少し不思議です
 
音質については、スペック上、WM-61Aは20-16,000Hz、XCM-6035は50-13,000Hz
という相違がありますので、その結果に注目していました
聴感上、相当品で高域が伸びないといった感じは受けません
低域に関しては、ネット情報で「相当品で低域がやや不足」という情報もありますが
残念ながら、今回の録音ではローカットフィルタを入れたことで、比較は困難でした
基本的にはほぼ同等の音質と、自分には感じられます
ただ、若干ですが「相当品の方がやや抜けの良い音」という風にも聞こえ
その意味では好感触と言えそうです
 
ハムノイズがね・・・・超残念です!(笑)
なので、もしかすると再挑戦してみるかもしれません
 
~~ハムノイズについて~~

その後、いろいろと試してみましたが、
ライン録音の時に悩まされるハムノイズの時は、
シールドを手で触る、いわゆる人体アースで解決することが多かったのですが
今回のケースは逆に「手や腕を近づけるとノイズが増す」と言うことに気づきました
これが電気的にどういうことを意味するかは私にはわかりませんが
少なくともマイクをギターから6,70cm離せばかなり軽減されるみたいです
以下は「赤とんぼ」をその条件で弾いてみたものです
 


 


11 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

こんにちは

如何なるマイク仕様でも、マイクに使うコードはシールド・コードを使うのが基本です。
裸のコードでハムが云々は意味がありません。

zizi さんのコメント...

匿名さん、こんにちは!!

もうほんとにその通りだと私も思います
工作素人の自作マイク手抜き製作という主旨でしたが
ノイズまみれでは意味がないですよね(笑)
手抜きしたい、というのに加えて
手持ちのシールド線が太すぎて
私の腕ではハンダが不可能だったと言うこともあったのですが
いつか極細シールド線で試してみますね
しかし、同じ作り方の1号2号では
なぜノイズ皆無だったのか・・・
電気の全くわかってない私にはすごい不思議です

このたびは貴重なご指摘ありがとうございました
ほんとに電気無知ですのでまた何かありましたらご教示下さいね!!

匿名 さんのコメント...

はじめまして、最近このマイクについて知り、それでこのサイトにたどり着きました。
当人かなりの初心者でして、録音例と共に載っているこのサイトの情報はわかりやすく、非常にタメになりました。

実は私も自作マイクを作りたくてそれに関してブログをまとめているのですが、できればわかりやすいサイトとして、このサイトのURLを載せたいのです。

いきなり「なんじゃこいつ」って感じのお頼みですが、よろしいかどうかお返事いただけると幸いです。
不躾なコメント失礼しました。

zizi さんのコメント...

匿名さん、初めまして

今回記事の3号はどっちかと言えば「失敗編」です(笑)
ハムノイズの原因さえわかれば教訓にもなるのですが
あまり得るものがないかもしれません
全ては私自身の知識不足の故ですけど
それでもよろしければ、ご活用下さいね
「なんじゃこいつ」などとんでもないですよ
こんな失敗を公開してる私こそ「なんじゃこいつ」です

ブログのアドレスを教えていただければ幸いです
今後ともよろしくお願いいたします!!

匿名 さんのコメント...

遅くなって申し訳ありません。宣伝みたいでなんか申し訳ないですがhttp://km207.blog.fc2.com/blog-entry-9.html
です。

こちらこそ、今後とも宜しくお願いします(:D)┓

zizi さんのコメント...

お役に立てたなら何よりです
BVE頑張って下さいね!!!

匿名 さんのコメント...

ノイズの件ですが、XCM-6035のピン付きの方を試して下さい。
WM-61AよりもXCM-6035の方が低ノイズです。

これは、XCM-6035の方がノイズ遮断性が良い構造の結果と思われます。

zizi さんのコメント...

匿名様、こんにちは!

なるほど、ピン付きの方ですね
早速今度やってみますね

貴重な情報をありがとうございました
電気的な知識ゼロなので、
今後ともよろしくお願いいたします!!

匿名 さんのコメント...

>このユニット(本家も相当品も)は「無指向性マイク」ですから
>ステレオ仕様で製作する意味はほとんどありません(特に1号のような形状)
まったくそんなことはありませんよ!ものすごく「あります!」。小保方さんなみに「ありまぁす!」w
例えば自作1号くらいのマイクの離し距離でアコギ1本を録音するような場合、アコギから0.5m~1.5mくらいの距離でセッティングすれば距離減衰とハース効果で自然なステレオ感(広がり感)が録音できます。
マイク間の距離や音源との距離などでその表情はまったく違ったものになって、ヘッドホン(イヤホン)でないとベストな音像定位にならない(いわゆるバイノーラル的なもの)になったり、スピーカーで再生するのにベストになったりと…なかなかマイキングは難しくて奥の深いものです。

また、無指向性なのでマイクを外側に向けていることに意味がないとお思いがちかとは思いますが、無指向性のECMはそれなりの自作ノウハウがないと少し指向性がついてしまいます(逆にノウハウが分かっていればあえてそうすることもできます)。自作1~3号、どれをとっても少し指向性のつきやすい設計です。少しなんですがその違いは大きいものです。音源(ソース)との距離やマイクの離し距離にもよりますが、カプセルの向きを外側に向けるほうが吉に出ます(ステレオ感・広がり感が出ます)。
楽器の音だけを狙った広がり感か、あるいは、あるいは楽器を演奏している空間を再現する広がり感か…って感じの違いといえば分かりやすいでしょうかね。

続いてノイズの件。
他の人が言っておられるように基本的にはシールドケーブルではないからですが、最初のXCM-6035の音源は高周波由来のスイッチングノイズ由来に思います。
ハムノイズというものは商用電源(コンセントから来ている交流電源)に由来するもので、それはここで公開しておられるZi Ziさんの全ての音源に乗っています。
ケーブルというものは、いわば電磁波をキャッチするアンテナです。
最初のXCM-6035の音源は高周波由来のスイッチングノイズ由来の最大の原因は、ケーブルの長さでしょうね。ケーブルを長めに引き伸ばして輪っかを一つ作るだけでAMラジオを受信したりしますしやプリアンプ、ちゃんとシールドされていなくバイパスキャパシタに力を入れていないプリアンプで商用電源で使うとプリアンプがアンテナになってしまします。(エアコン・冷蔵庫・換気扇・蛍光灯・パソコンなどと電源が共有されていればハムノイズが乗ります)
ちなみに、人体もアンテナになりえますし同時にアースにもなります。人体はほとんどが水分ですし血液中の鉄分が多いですからねw

最後に他の人が言っておられるXCM-6035の方がWM-61Aよりもノイズが低いという件。
これはある意味では正しく、ある意味では間違いです。単純にマイクカプセル単体が発するノイズ量は同等です。(むしろWM-1Aの方が少しだけローノイズ)
ようするに、ピン付きXCM-6035の方が「カプセルとしては」シールディングされているので、電磁波を拾いにくい構造であるというだけです。
大事なのは、作成する際にいかにシールディングするかにかかっています。いくらピン付きの方が電磁波ノイズを拾いにくいからといって、その周囲がシールドされていなければアンテナになります。

以上、長文失礼しましたm(_ _)m

zizi さんのコメント...

匿名様、こんばんは!

こんなにも幼稚な記事にコメントいただいてありがとうございました
電気のことは全く無知で、
「そもそもこのようなものでマイクなど作れるのか?」
と、そういう興味だけで作ってみたら、
「なんか意外によい音で録れたぞ」
というのが嬉しくて、そのまま記事にしてしまっております(笑)

匿名様のコメントにまともにご返答できるほどの知識もないのが
何とも悔やまれ、また申し訳なく思いますが
教えていただいたことを今後の糧としたいと思います

ステレオに関しては
おっしゃるとおり、今聞き返してみると、
なんか自然なステレオ感を感じますので
コメントを踏まえて記事を修正しようと思います

シールドについては、もうなんの知識もないので
ただ単にシールド線を使用するだけでよいのか
それとも他に何か工夫が必要なのかもさっぱりわかりません
このカプセルを使った工作は
最近目が余りよく見えないのでもうしないと思うのですが
圧電素子を使ったコンタクトマイクの製作は
できれば再挑戦したいと思っており
http://zizii2015.blogspot.jp/2016/01/pu.html
このシールド方法なんかは一度研究というか調べてみたいと考えております

このたびはご教示に心より感謝いたします
こんないい加減なブログですが
よろしければまた遊びに来て下さい!!

匿名 さんのコメント...

私の意見に、

>ある意味では間違いです。

と言うご指摘がありましたので、一言申し上げます。

ハムノイズでお困りの様でしたので、ハムノイズに関してのみ記載したつもりです。
マイクカプセル単体のノイズ発生量に付いては一言も言ってません。

「ノイズ遮断性が良い構造」と記載しているのに、理解していない。

これを書いた匿名さん。良く読んでから、人の意見にコメントしてくださいね。